ある男性のお父さんが亡くなったとします。
その男性がお父さんの死について次のように語ったとします。
「オヤジが死んで悔しいです・・・」
もし実際にこのように言われたらあなたならどんな言葉をかけるでしょうか?
「それは大変なことで・・・」
「さぞお寂しいことでしょう・・・」
というかもしれません。
これらの声かけは別に悪気があるわけではなくて、むしろ心中を察して励ましてあげようという親切な思いから出てくる言葉なのですが、実はこのように解釈した結果、相手の気持ちをずれてしまうことがあります。
さてここ問題です。
まずはこの男性がなぜ悔しいのか想像(妄想?)してみてください。
父親がなくなって悔しいといっている理由を当てるゲームと思ってやっていただければ結構です。
答えは一つではなく色々な可能性があると思います。
例えばこんな風に。
・親孝行をしたかったのにできなかったのが悔しい。
・オヤジにはやりかけのことがあった。それを完成できぬまま亡くなっのを知っているので悔しい。
・いつかありがとうと言おうと思っていたのに、もう言えなくてなってしまって悔しい
・孫の顔を見せてあげたかったのに出来なくて悔し。
・簡単な手術だと思っていたのに医療ミスでなくなってしまい無念で悔しい。
・・・
お父さんに対する優しさからこの男性はお父さんの死を悼んでいるのだろうと想像できます。
また、ちょっと怖い話ですがこんな可能性もあります。
「オヤジに復讐したかったのにできなくなってしまった。悔しい」
こういう考え方がいいか悪いかではなく、もし復讐心から発せられた「悔しい」だったとしたら先ほどの「それは大変なことで・・・」「さぞ寂しいことでしょう・・・」という声かけは、男性の心情と全く違うので心には届きません。
私たちは話を聴いた瞬間にほぼ自動的に自分のフィルターが反応し解釈してしまいます。
この例の場合、あなたがやさしい心の持ち主であればある程、お父さんを思いやったやさしさだろうとフィルターが解釈してしまします。
あなたがどう感じたことはすべてあなたの中のフィルターの反応であり、実際に相手がどう感じているかとは別のものであることを知っておきましょう。
あなたの心にスッキリと通る言葉にいい変えをせず、相手から自然に発せられた言葉、この場合であれば「悔しいんですね」とくり返します。
言葉にはその人の想いが乗っています。
ちょっと難しい方をすれば、言葉にはその人の精神的な世界がよくあらわれます。
だから相手が使った言葉でくり返さざるを得ないのです。
※原文からの抜粋なので、書籍とは内容が異なります。
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