傾聴とは何をすることでしょうか?
一生懸命聞くこと?
相手が話している最中は黙っていること?
うなずきやくり返しをすること?
気持ちを聴くこと?
・・・どれも一理あります。
特にカウンセリングを習った人は、
「相手の気持ちを聴きましょう」と強調されたでしょう。
形容詞を表す単語が多いです。
でもこの「気持ち」という表現が、
誤解も招いていると強く感じています。
一般的に「気持ち」と言われると
次のような言葉を思い浮かべるでしょう。
・嬉しい
・楽しい
・悲しい
・つらい
「い」で終わる言葉、つまり形容詞。
確かにこれらの形容詞は気持ちを表しています。
でも実は、形容詞以外も気持ちを表す表現があります。
形容詞以外の気持ち
たとえば
「私は・・・しんどい思いをしながらも・・・ずいぶんと・・・頑張りました・・・」
これも気持ちを表しています。
どの部分が気持ちか?
形容詞の「しんどい」の部分か?
違います。
鍵カッコ中身全部、
「私は・・・しんどい思いをしながらも・・・ずいぶんと・・・頑張りました・・・」
が気持ちをあわらしています。
意味への応答&感情への応答
カウンセリングのテキスト見ると傾聴で「応答」する部分は
・感情への応答
・意味への応答
(・事柄への応答)
書かれていたりします。
感情への応答と意味への応答の違いを理解し、
使い分けをしているでしょうか?
また、感情への応答と意味への
応答の比率はどれくらいでしょうか?
私の感覚だと、意味への応答が80%、
感情への応答が20%くらいの感覚です。
つまり会話の中で関わる部分は、
いわゆるみなさんが思っている
形容詞の様な感情の部分よりも、
「意味」への応答の方がはるかに多いのです。
たとえばビジネスの会話の中で
感情をたくさん表現する人はあまりいません。
「きょう契約してもらえないと、悲しいです(感情)・・・」
なんて言わないですよね。
でも「意味」は頻繁に出てきます。
A:「保険の種類って色々あり過ぎて、話を聴けば聴くほど、だんだん混乱してきちゃった・・・」
B1:「確かに保険の種類っていっぱいありますよね!」(「保険」という事実への応答)
B2:「そうでなんですね・・・あり過ぎすぎて、聴けば聴くほど、よくわからなくなってしてしまったんですね。」
そして、訴えられた「意味」に対して
対策をアプローチすればいいでしょう。
「いくつも説明して混乱させてしまったようで申し訳ありません。・・・混乱を整理するために、違いが明らかな2つに絞って、もう一度説明させていただいてよろしいでしょうか?」
単語ではなくて全体。
この場合「混乱する」という単語が
意味を表しているというわけではありません。
全体のつながり、つまり、
「いろいろあり過ぎて」
「聴けば聴くほど」
「混乱して」
「きちゃった」
「いろいろあり過ぎる」
これらはすべて話し手の感覚です。
(人によってはたくさん聞いても全然平気という人もいますし)。
「聴けば聴くほど」
という、時間を追うごとに困り始めていく
その人独自の感覚。
「混乱」
の状態を感じている、その人独自の体験。
そして
「ちゃった」
というよからぬ状態になってしまった
自分を感じているのもその人です。
これらその人独自の感覚というのは
「感情」と言えなくもありませんが
多くの部分は形容詞では表現されません。
品詞の問題ではないのですが、助詞、副詞
そして時には名詞だったりします。
形容詞も含めて、品詞で理解するのでなくて、
その人にとっての「意味」を理解するのです。
それを伝えるために「意味や価値を聴く」
と私はよく言っています。
気持ちの方程式
学問的に同課は別として、「気持ちを聴く」といった場合、
「感情への応答」と「意味への応答」両方のことを
意味していると理解したほうが自然です。
そして、こんな方程式をよく書きいます。
「気持ち=形容詞+意味や価値」
形容詞で表現される気持ちは、
おそらく全体の10%もないでしょう。
全体の90%くらいは、「意味や価値」を
聴きとるつもりくらいがちょうどいいでしょう。
「意味や価値」とは、別の言い方をすると
「その人が会話全体で言わんとしていること」
です。
意味や価値を気持ちとしてと聴きとれるようになると
上手に傾聴が出来るようになります。
形容詞以外の意味や価値への応答、
よかったらやってみてください。
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