もともと東京生まれですが長野に引っ越したのは
小学1年生の夏のことでした。
毎日公園で友達と野球をしていた
野球少年だった私は
入会が許される小学3年生になるとすぐに
心待ちにしていた地元の野球チームに入ったのでした。
地元の...といっても、
自分が通ている小学校の校庭でやっていたので、
ほぼ学校生活の延長でありました。
毎週末の朝早く起きるのはつらかったですけれども、
やっぱり野球ができる喜びのほうが大きかったですね。
チームには3年生から6年生まで約30人いて、
ある日、全員に背番号が配られることになりました。
ワクワクする瞬間であります。
やっぱり野球をしているからには
当時の人気選手たちがつけていたような、
一ケタの背番号やエースナンバーの
10番、18番とかが欲しいわけでありますが、
レギュラー選手はなかったのでで、
その辺の希望はあきらめていました。
「与えられた背番号を好きになろう」
と、思っていましたね。
順番に名前が呼ばれて背番号が配られていき、
ワクワク自分が呼ばれるのを待っていました。
ところが・・・、
いつになっても名前が呼ばれず、
わたしだけ背番号が配られないまま
終わってしまったのです。
当時、控えめだった私の
(今でも控えめです!)
その様子に気づいた仲間の一人が
監督に「岩松君がまだ呼ばれていません」
と言ってくれました。
監督は怖くて近寄りがたかったので、
その一言はとてもありがたかったですね。
ところが、
その言葉に対して監督があっさりと
「忘れてた」
と悪びれる様子もなく言ったいった姿と見た瞬間、
背番号がないこと以上に、
自分の存在を無視されたように感じ、
ものすごく傷ついたのを覚えています。
しかも後日配られた背番号は「93番」。
「なんで30人しか部員がいないのに、こんなに大きな数字を与えらたのか?」
悶々としていました。
その後も細かいいやなことがいろいろあって、
その野球チームは結局小学4年生になって
しばらくしていかなくなってしまいました。
なので野球チームではあまりいい思い出はありまん。
・・・
数年前の正月、実家に帰省した時のことでした。
何かの拍子に母とその野球チームの話になりまして。
そのとき母からある話を聴かされたとき
はじめて子供のころ自分が感じていた
不遇の理由の一端を知ることができた気がしたのです。
東京から長野に引っ越しをして、
私も小学校が変わりそれなりに新しい環境に慣れる
苦労もあったのですが、
父や母も、
はじめての田舎暮らしに戸惑っていたのだそうです。
小学生の私にはわからなかったことです。
とくに田舎の人付き合いは都会とは違い、
人間関係の濃さに戸惑っていたのだとか。
都内から習い事は月謝を払ってあと
先方にすべてお任せすれば済むものも、
田舎ではそうはいきません。
野球チームには父母会のようなものがあり、
炊き出しや送迎を親が暗黙の了解で
協力してやるのがあたりまえという文化があったのだそうです。
そのルールの違いに両親もなじみ切れなかったと。
もしかしたら、
監督さんはそのことを快く
思っていなかったのかもと聞いたとき、
(本当のところは今からではわからないことでありますが)
私が感じていた小さな不遇の数々は、
の理由が少しわかった気がしてスッキリしました。
でも、それを差し引いてもあまりある
放っておけない野球の実力が私にあれば、
そんな小さな不遇は起きなかったはずだとも思います。
自分のことを抜きにして親や監督だけを責めるわけにはいきません。
私はその事実を聴いたときに、
小さな不遇を感じていた子供のころの自分を
まずしっかり抱きしめてあげたいと思いました。
そして同時に、
小学生だったとはいえ自分のことだけ考えて、
親の苦労まで思いが至らなかったことに
申し訳なくも思ったのでありました。
こんな風に数十年たってからでも
悶々としていたことの理由が分かるのはまだ恵まれています。
理由もわからないまま悶々を
抱え続けなけばいけないこともあるでしょう。
そんな時は、
寂しかったり、つらがっていた昔の自分を思い出して、
いま成長したあなた自身が
若かりし頃の自分を抱きしめてあげる場面を
想像してみてはいかがでしょうか。
つらかったころ独りぼっちだった自分のそばに、
いまの自分がいてあげる・・・。
感覚的な話で恐縮ですが、
私はそんなことをよくします。
あなたは悶々とした過去とどんなふうにつきあっていますか?
<おしらせ>
感動しながら話を聴くと、
人の話も上手に聴けます。
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