「マシを目指す」カウンセリングのテーマの設定

いつもありがとうございます。

甘党でもあり辛党でもある、岩松正史です。

「わたしは今までに一度も失敗をしたことがない。
 電球が光らないという発見を、今まで二万回したのだ」
(トーマス・エジソン)

「なりたい自分になろう!」

カウンセラー、セラピストから
よく耳にする言葉です。

たしかに・・・

「なりたい自分」

見つかればいいでしょうね。

ところが、

そのテーマでカウンセリングを進めると
行きづまることがよくあります。

なぜか?

一つには、

なりたい自分はそう簡単に
見つからないから。

あるいは、

道のりが遠くて
挫折しそうに思えるからです。

「なりたい自分を探す」

というアプローチ方法には
限界があります。

なりたい自分探しには、
2つのアプローチ法を組み合わせたりします。

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・方法1:深める
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「それはどういう意味でしょうか?」
「その時、どう思いましたか?」
「どうなれたらいいと思いますか?」

いまあるモノをより深く
聴いて深めていく方法です。

なかなか深まりにくかったりします。

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・方法2:広げる
------------
「他にはありますか?」
「たとえば●●だったらどうでしょう?」

いまあるものを基準として、
別のものを見つけていく方法です。

選択肢を思いつかない場合、
ツラくなります。

あるいは、

「たとえば●●だったら」の「●●」が
カウンセラーの意思に基づく
誘導になりやすかったりします。

それでは作られた
「なんちゃってなりたい自分」
です。

これらの方法で
うまくいくならいいですが、
うまくいかない時

もう一つくらい
切り口を持っておくと便利です。

その方法の一つが、課題として

「なりたい自分探しをやめる」

です。

では、何を課題にするのか???

私はよく、

「なりたくない自分にならない」

を課題にします。

いい状態を増やすのではなく、
悪い状態を退避する
という課題設定の方法です。

ポイントは、

悪い状態を減らすのではなく
「避ける」です。

まず、

クライエントにとっての
悪い状態を徹底的に聴きます。

例えば

「何が嫌ですか?」
「どんなとき嫌ですか?」
「何がつらいですか?」

ネガティブな感覚の所在を
徹底的に聴ききります。

そして、

聴ききったら

「イヤじゃない状態ってどんな状態なんだろう?」
「避けたいイヤな状態ない状態ってどういう状態なんだろう?」
「ツラくない状態ってあるんですか?」

悪い物がない状態を確認します。

そして、

なりたい自分ではなく、
その「マシな状態」の実現、
強化を課題に設定します。

「なりたい」と「マシな」

は違いますよね。

クライエントの問題を一気に解決し
手柄が欲しい野望を持っているカウンセラーは
きっとこの手法は好みません。

でも、冷静で現実的なカウンセラーなら
便利に使えるでしょう

なりたい姿が見つからない時、
見つかっているけれど
すぐには近づけない時、

そのまま放置するよりは、
今よりマシな姿を目指すほうほうが、
文字通り「マシ」です(笑)

クライエントがどんな課題や
希望を持っているのかよりむしろ
カウンセラーが何を許容できるかによって
カウンセリングの質が決まりますね。

2万回の失敗ではなく発見をしてきた
エジソンの思考を用いるなら
「マシ」になったら大成功でしょう(笑)

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<<編集後記>>

きのうは息子と東京湾にある
海釣りの施設に行ってきました。

天気も良く海も空も広々として
普段自宅や事務所にこもりきりのなので
すごく気持ちがよかったです。

釣果はボウズでしたが、
またいい気分転換の場を
見つけました。

今の街に住み始めて14年。

自宅からほんの30分で行ける
近場にあったのに
知らないことばかりです。

身近にあっても知らないことばかり。

家族との関係にも似ていますね。

今日もいい一日をお過ごしください!



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→ 諸富祥彦の傾聴のねっこ(動画)

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