みなさんは「三点法」というのをご存知でしょうか?
入り口はポケモンGOの話から始まりますが、
傾聴力に関わる話ですので
よろしければ最後までお付き合いください。
・・・
私が最近、楽しんでいるいるポケモンGOには、
「近くにいるポケモン」を表示してくれる機能があります。
この機能は自分が、ポケモンの半径200m以内にいるときに
通知してくれる機能なのです。
でも通知してくれる内容は、
「近くにいる/いない」
がわかるだけで、
「いったいどの方向に向かえば出会えるか」
はわかりません。
あとは、実際に歩きながら探すことになります。
当然、最初は半径200m以内にいても、
歩き出した方法が逆なら、
半径200mを越えてしまった時点で(遠くなるので)
「近くにいるポケモン」からは消えてしまいます。
近くにいることはわかっても、
方向がわからないので、
近辺をウロウロ歩き回ることになります。
その歩き回って探すというのが、
ゲームの楽しみの一つであります。
それはともかく、
実は、ポケモンのいる位置を
正確に知る方法があります。
それが
「三点法」
です。
ちょっと複雑ですが解説します。
図を見てください。
・・・
自分がいまいるのが「A地点」で、
★印がたどり着きたい場所(ポケモンがいる)とします。
でも、どの方向に向かえば
★印の場所にたどり着けるか
まだわからないわけです。
一つだけあるツールは、さきほどの
★印から半径200mにいるときは
「近くにいる」という表示が出て、
200m以内にいるかどうかだけわかります。
★印の場所にたどり着きたいなら、
まず、どの方向でもいいので
とにかく「A地点」から移動し歩き始めます。
この例では仮に「B地点」の方に歩き出したとしましょう。
歩き出すときに、
何歩歩いたかを数えながら歩きます。
すると、
「B地点」を超えた時点で
「近くにいる」という表示が消えます。
表示が消えたら、
消えた「B地点」から180度逆を向いて歩き始めます。
もともといた「A地点」を越えて、
さらに進んでいきます。
すると、
こんどは「C地点」を越えたところで、
また「近くにいる」表示が消えます。
これで、
「B地点」と「C地点」の間が、
たどり着きたい★印の半径200m以内の
円の内側にいることがわかります。
でも、これだけでは、まだ
上下は特定できても左右が特定できません。
今度は、「B地点」と「C地点」のど真ん中、
中間地点(D地点)に移動します。
そこから右でも左でもいいので、
90度折れて歩き始めます。
折れた方向が偶然★の方向だった場合は、
そのまま進めば★印にたどり着きます。
折れた方向が★印と逆の方向だった場合は、
「E地点」を越えた時点で
「近くにいる」表示が消えます。
「近くにいる」が消えたら、
E地点から180度逆を向いて、まっすぐ歩き始めます。
「D地点」を越えてさらにまっすぐ進むと、
★印にたどり着けます。
・・・
長くなりましたが、これが3点法の原理です。
つまり
B、C、Eの3点を特定することで、
目的地である★印の場所もわかるというわけです。
全然違うように思われるかもしれませんが、
この3点法は、人の話を聴くときの
自分の立ち位置にも通じています。
人の話を聴いて、相手のことをよくわかろうとしたときに、
自分の立ち位置をどこに置いたらよいかという話です。
・A地点が、いまここで感情的になっている自分。
・B地点が、感情的な部分ではなく、「私はこう思う」「私ならこうする」「私はこれが好き」という聴き手自身の正直な思い(本心)があるところ。
・C地点が、話を聴いてあげようとする相手が思っていること、つまり相手の「気持ち」のあるところ。
・自分の意見に偏って押しつけがましくもならず、相手の意見に迎合して自分を抑えるのでもない中間地点がD地点です。
普通に考えると、
D地点にさえいることができれば、
「公平」でいいように思わないでしょうか?
でも、D地点がよいのは、
世の中に2つの選択肢しか存在しない前提のときだけです。
実際には、世の中には、
私の意見とも、相手の意見とも違う
第三(四、五・・・)の見方というものが存在します。
つまり、
B寄りでもC寄りでもない。
BとCの中間でもない。
少し離れた客観的な視点から、
自分も他人も見ないと(E地点)、
物事の本質はわからないというわけです。
でも、
生の生活の中では、半径200m以内がどこなのか
具体的に知るすべがないので、
どこが中立的な場所(D地点)か
正確に知ることはできませんし、
BもCもEも、正確な境界線を知ることが困難です。
自分でここが「B地点」だと決め、
よく聞きながらここが「C地点」とわかるまで、
相手の話をよく聴かなければできません。
ということは、
逆を言えば、自分と違う誰か(何か)を知りたいときには
以下の順番になります。
1.[B地点]:自分のことをよく理解する(自己理解)が一番最初
2.[C地点]:相手のことをよく理解する(他者理解)が二番目
3.[D地点]:中間の意見も知ったうえで
4.[E地点]:全く違う意見があることもちゃんと知っておく
こうすることで、
自分のことを否定せず、
相手のことも否定しないで
両方の想いがよくわかる
共感的な理解の立ち位置(★印)がわかります。
非常に理屈的な話でありますが、
人生における真理というのは、
理屈も感情もなく、不変なのかもしれませんね。
ポイントは、一番目の自己理解ができていないと、
共感以前の問題で、
他者理解にもたどり着けないということです。
・・・
うなずき、あいづち、くり返し、質問など
傾聴のスキルの練習を繰り返していると、
表面的にはきれいな応答ができたとしても、
それだけでは、
本当に相手と分かり合う傾聴力にはつながらないのは、
このためなんですね。
そして見ていると、
聴くのが苦手という方は必ずといっていいほど、
自己理解のところでつまづいているように見えるのです。
【この言葉を自分に言ってみよう!】
「自分のことがわかるから、他人のことがよくわかる。」
そして、この図から、
自分をわかったり、他人をわかるということと、
いったいどの立ち位置に立って
相手と接すればよいかは
また別のことだということがよくわかります。
ともかく、
誰かの話をちゃんと聴きたいなら、
まずは自分のことをよくわかりたいものですね。
<お知らせ>
客観的かつ、心穏やかに
聴く方法を学ぶ傾聴1日講座は
平日は1月11日水曜日
週末は1月14日土曜日に開催です。
↓
http://bit.ly/2gDTlve
・ 傾聴1日講座(基礎) /毎月開催中
■脳と心を鍛える無料メール講座
・ 傾聴のつぼ入門編
・ 記憶のつぼ入門編
■岩松正史のアクティブ・ブレイン関係のセミナー
・ 初心者のための記憶術
・ アクティブ・ダイエット
・ アウトプット読書法
・ 夢実現講座
■著書「聴く力の強化書」 /2刷 自由国民社