相手への想いと、自分の中の想い

先日、自宅でくつろいでいる最中に

急に「いってらっしゃい」という

挨拶の言葉が頭の中に浮かんできまいた。

そして、なぜかその場面のイメージも

一緒に見えてきました。

場所は、いつも出張で使っている

大阪のホテル近くの「コンビニ」です。

しかもその挨拶、特に元気よく、

笑顔で言ってくれたから

印象深いというわけでもなくて。

どちらかというと、

朝の混んだレジをさばきながら、

年配の男性店員さんがこちらを見ずに

流れ作業的に言っているだけの挨拶です。

「なぜ思い出すのだろう?」

心を込めて言ってもらった風でもない、

その挨拶をなぜか時々思い出します。

そのたびに思い出す理由を考えてみたりもしたのですが、

今回ようやく、その理由が

なんとなく分かった気がしました。

・・・

エトス、ロゴス、パトス

紀元前350年ころの哲学者、

アリストテレスが弁論術の中で、

三種の説得段階として解いた、

話が相手に伝わる要素です。

エトスは誠実性、ロゴスは論理性、

そしてパトスは感情です。

私がそのコンビニ店員さんが印象に残っているのは、

その3つの中で言うと

パトス「感情」かなと思うのです。

「いやいや、さっき『心を込めて言ったもらってない』って言ったじゃない!」

と言われそうですが・・・。

「感情」というのは何も私に向けられた感情だけが、

感情ではないですよね。

パトスは時々「共感性」とも訳されます。

字のごとく「共感」だとすると、

確かに対象となる「誰か」が必要でしょう。

でもパトスをただ「感情」として読めば、

私に向けられていない感情・・・、

「その人の中にある、沸々とわきあがるもの」

それも感情です。

店員さんの何が気になっているのか?

よくよく自分に聴いてみると

「あの店員さん、言ってらっしゃいって言いたくて仕方ないんだろうなぁ」

と思っている自分に気が付きました。

その店員さん。

愛想とても良いわけではない、

普通なのですけれども、

レジが混んでても、必ず一人ずつに

そうやって声をかけていました。

私の脳裏に焼き付いているその店員さんは、

「レジが混んでいるときに、流れ作業的に挨拶をする、失礼な店員さん」

ではなくて、

「レジが混んでいるのに、どうしても挨拶をしたくて仕方ない店員さん」

に思えるのです。

私に何かを伝えようなんて余裕はないでしょうね。

もっといえば、

私の顔すら覚えていないかもしれません。

でも、その店員さんから感じる雰囲気は、

「来たお客さんには、全員にひと声かけて送り出したい

という、その店員さんの中のこだわりを強く感じるから

その思いが、印象に深く残っているのだと思います。

・・・

そう思うと、どうなんでしょうね・・・。

普段私たちが生活の中で誰かと会話するときに、

自分の想いをちゃんと言葉で伝えるというのは

大切だとは思います。

私もそういう聴き方や伝え方を

お伝えするのが仕事ですし。

誠実性(エトス)と論理性(ロゴス)は

ある程度考えて工夫すれば整えられるかもしれません。

でも、本当に伝わるのは、

「伝え方が上手」

だからではなくて、

「思い方が強い」

からだと思ったりしませんか?

その思いの強さが、独りよがりなものなら、

いさかいが起きますが、

相手にとってもよきものなら、

あえて伝えようとしなくても、

かもしだす雰囲気全体から、

ちゃんと伝わるものもある気がします。

そう思うと、伝える方法というのは、

想いをちゃんと伝えるお手伝いをする

ただの道具でしかない気がするのです。

【この言葉を自分に言ってみよう!】

「人のことを気にするよりも、自分がどう思っているかを気にしよう」

来年もまた傾聴講座で大阪に行きます。

あのオッチャンに会うのが楽しみです(笑)。

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