娘がドラマ見ていた。
子どものお受験がテーマのドラマのようだ。
学歴コンプレックスを持つ父親が
自分の子どもにお受験をさせるという。
ドラマの内容には興味ないけれど
見ていて一つ、とても驚いたことがある。
主人公の子の合格発表の場面で、
登場人物たちがパソコンの前に集まってきた。
その光景を見て、
いまどきの合格発表は、パソコンで見ることに驚いた。
私の学生時代はもちろん
つい6年前に受けたばかりのカウンセラーの試験だって
合格発表は、郵送だった。
それが今では、決まった日の
決まった時間にWebに掲載される。
それがスタンダードかわからないが
受験するほう、させるほう双方にとって、
とても効率的な方法ではある。
「世の中ハイテクになったもんだ」
と、化石化しつつある自分を知った。
・・・
でも、そのドラマを見ていて
納得できなかったことが一つあった。
ドラマでは、無数の合格者番号が
記載された画面が映し出されていた。
主人公がそのパソコンの画面を下にスクロールしていくと・・・
だんだん、と主人公の受験番号に近づいてきて・・・
いよいよ、合格かどうか?わかりそうな一歩手間で・・・
コマーシャル(笑)。
それはよしとして、再びドラマが始まって・・・
最終的に、主人公の受験番号が、
合格者として載っていてハッピーエンド!
という、もったいぶった演出は、
昔も今も変わらない。
それを見て正直おかしいと思った。
・・・
パソコンには、文字の「検索機能」が付いている。
いちいち自分の番号を探しながら画面を
スクロールしていたら時間がかかる。
似たような番号がたくさんあるのだから、
目視だと見間違いも起こりやすい。
検索機能を使えば、一発で探したい文字を
正確に画面の中から探してくれる。
「なぜ検索機能を使わないのだろう?」
と不思議だった。
受験番号をWebで確認する場面はハイテクを感じたが、
合否の確認方法はローテクだった。
パソコンがさほど得意ではない人は、
きっといまでも、そのドラマのように
画面をスクロールしても目視で確認する人もいるだろうから、
今ならまだ、その演出はギリギリ、
私以外の多くの視聴者の共感を得られたかもしれない。
でも、これから5年、10年経った時、
その方法はきっと、化石となっている。
(まるで、サザエさんの家に黒電話がある違和感と同じように)
近い未来「検索機能」が標準的になっているか、
もっと進んだ機能があって、もう誰も、
目視でドキドキしながら、
受験番号を探すことはないはずだ。
いまよりもっと効率的な方法が標準になっているだろう。
そこでまた思った。
・・・
「効率的になることが、本当にいいことなんだろうか?」
ドキドキする間も、まどろむ間もなく、
一瞬で答えが見つかってしまう。
心が感じる間もなければ、心が動く間もない。
早すぎると、結果に心が付いてこないのではないだろうか?
・・・
昨日たまたま目を通した、カウンセリングの進め方の本に
「カウンセリングはテンポよく進むより、ゆっくりの方がよい」
と書いてあった。
そのほうが自己理解が進み、
表面的ではない、本当の答えに
たどり着きやすくなるからだ。
そもそも私たちは、効率よくこなすために
生きているのだろうか?
それとも、感動するために
生きているのだろうか?
どちらも正解な気もするし、
どちらも正解ではない気もする。
なかなか、答えは見つからない。
でも少なくとも私は、自分が人生の最後を迎える瞬間に
「効率的に、物事を進めらてよい人生だったなぁ」
とは思わいと断言できる。
最後の瞬間は、きっと私は、
それまで自分が感動した出来事を走馬灯のように思い返して、
人生の意味を振り返るに違いない。
(もし思い出す余裕があればの話だが)
試験は合格が目的ではない。
合格した後によきことが起き、
そこに感動が待っていると思うから
合格発表はワクワクするのだ。
合格しても何も感動がなければ、
合格発表はドキドキしない。
そう思うと、効率的であることよりも
感動や感情の方が大切な気がする。
・・・
話は違うが、最近話題のヤマトの宅急便も、
翌日までに欲しいものを届けてくれて、
とてもありがたい。
でも、便利さを手に入れたと同時に、
物を手に入れることに対する感動は
薄れたように感じる。
便利が増えると、感動が減る。
便利な仕組みがどんどん増えてくる時代だからこそ、
自分で自分を感動させようと意識しない限り、
どんどん心が貧しくなってしまいそうだ。
これをお読みのあなたは、感動を得るために、
あえてやっていることはありますか?
その一つの方法として、
合格発表を画面を下にスクロールさせながら、
見ていくという方法は、悪くはないのかもしれない。
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