うなずきあいづちのポイント(意味、効果、練習法)

BLOG内でも過去にうなずき、あいづちの意味と効果については触れてきていますが、

あらためてまとめてみました。


 うなずき、あいづちの主な意味と効果


<話し手側>

・ 聴いてもらえていると感じる
・ 自由に安心して話すことができる

<聴き手側>

・ 聴こうとする気持ちを行動で示す
・ うなずき、あいづちしながら聴くことで、聴き手自身の中に相手の伝えたいことが印象付けられる

うなずき、あいづちが人が使う一番短い言葉です。

うなずき、あいづちでうまく関われないと、その先にあるくり返し、伝え返し(要約)、質問、その他の応用スキルは使えません

よい聴き手になる入り口は、うなずき、あいづちが基本であり、家で言う土台作りに当たります。


 与える効果


「うなずき」は、視覚的に訴える効果があります。

「あいづち」は、発しているときの様子から、視覚的に訴える面と、発せられたあいづちにより音として伝わる、聴覚的な影響の両面があります。

そして、うなずきとあいづちの両方に共通している点は、「軽く入れれば軽さが伝わり、深く入れればより深く理解して(しようとして)いることが伝わる。」ことです。

傾聴におけるうなずきあいづちの目標は、より深く受け止めて聴こうとしていることを話し手に伝え、話し手との信頼関係を築くことにあります。

では、関係性を深める「深さ」とは何かというと、「今ここに一緒にいる感じ」をどれだけ感じあえるかが深さです。

「一緒にいるという感覚=聴いてもらえている」

もう一度言います。

傾聴におけるうなずき、あいづちをいれる目的は、「一緒にいるため」です。

ところが、実際にカウンセリングやコーチングを習っている人がどの様にうなずき、あいづちを入れているか見てみると、「一緒にいるため」というよりは、「私はあなたの話を真剣に聴いています」を伝えようとする要素がとても強くにじみ出ていることがあります。

何度もくり返しになりますが、うなずきあいづちは「一緒にいるため」に必要なのであって、聴き手のマジメさや誠実さをアピールするために入れているわけではありません

「一緒にいよう」という目的を忘れてはいけません。

では、一緒にいるためには、どのようなうなずきあいづちを心がければよいのでしょうか?

ポイントをまとめてみました。


 ポイント1.呼吸から合わせる


まず、会話が始まったらうなずきながら話し手の速さ、強さに呼吸を合わせましょう。

話し手が「あの・・・ですね・・・。えっと・・・」と迷いながらゆっくりと話しているのに、「はい、はい、ええ」と軽いテンポで応答すれば気持ちがずれます。

あいづちを入れたときに気持ちがずれるのは、その前の段階ですでに息がずれているからです。

たくさん(正確に)あいづちを入れようとすればするほど緊張し、ぎこちなくなる人が多いので、あいづちは自然に出るままに任せ、あまり意識しなくていいです。

それより、息づかいをあわせるようにうなずきを意識して入れましょう。

その時、自然と漏れてくるあいづちくらいが、ちょうど「一緒にいる」感覚を醸し出してくれるはずです。


 ポイント2.あいづちで応答するときの声の大きさ、速さ、トーンを話し手に合わせる


ずっと話し手が落ち着いた、同じトーンで話してくれればついていきやすいでしょうが、実際は信頼してくれればくれるほど、自由に気持ちは上下しながら話してくれるでしょう。

「安定して聴く」のが目的ではなくて、「一緒にいる」ことが聴く目的ですから、相手の気持ちが動いたときは、積極的に相手の声色、トーン、強さに合わせるよう、自分を変化させていきます。

多くの人はこれが苦手です。

大きく揺れる船が好きな人はいませんが、それに似ています。

相手の感情に揺さぶられると不安になります。

「揺さぶられないよいようにしよう」とすると、かえって緊張するので、そうではなくて、「相手の踊りに合わせて、一緒に踊ろう」という能動的な姿勢で、相手の世界に飛び込んでいきます

映画を斜に構えて冷静に見ても、何も面白さがわからないと同じです。

聴くときも自分が「冷静であること(ないこと)」に意識を奪われてしまうと、その時点で聴けなくなってしまいます。

「一緒にいる」ということは「相手の懐に飛び込む」ということです。

懐に飛び込むには、相手に対する信頼と同時に、自分に対する信頼がないとできませんから、恐れずに飛び込めるよう練習しましょう。


 まとめ


うなずき、あいづちのポイントは

1.一緒にいることを目的とする

2.息づかいから合わせ、話し手の声色、強さ、高さをよく観察し、そこに合わせようとする

こうすることで、共にいる感覚が安心感と信頼につながり、いろいろ本音で話をしてもらいやすくなります。

うなずき、あいづちによる関係構築がうまくできないと、そのあとにくる他の傾聴のスキル(くり返し、要約、質問)などは、より複雑でより深く関わることが求めらので、当然うまくできません。


 効果的な練習方法


うなずき、あいづちの効果的な練習方法は、1分から確実にできるようにしていくことです。

たとえば、今日、60分くらい誰かの話を聞く予定があったからと言って、その60分間「できる限り、うなずきあいづちで乗り切ろう」みたいな練習法は、きっと挫折で終わります。

なぜなら、出来るだけ頑張ったら、最後はたいていツラくなっておしまいになるからです。

練習は自信をもって、まず1分間から始めましょう。

1分であれば確実に一緒に踊り、話の内容もたやすく理解できる状態を作れたら、つぎ2分、3分と時間を増やしていきます。

このように、いわゆるスモールステップで「確実なものを増やしていく」ほうが、結果的に傾聴の上達が早くなります。

また、自分に対して急がず、焦らず、少しずつの進歩を許せるマインドを持てる人は、他人に対しても、急がせず、焦らせず、少しの進歩を喜びながら話を聴けるマインドの持ち主となります。

人間関係はいつも、自分との関係が映し出される鏡です。


 最後に「気持ちだけじゃない、スキルだけでもない」


自分との関わり方が他人にも投影されるので、自分との関わり方がゆったりと、安心できるものになればなるほどほど、うなずきあいづちにも深みが出てきます。

傾聴するときには、相手のことを受け止めたいとか、わかってあげたいという気持ちももちろん大切ですが、気持ちは「行動」に表れて初めて相手に伝わります。

心の中で相手を思う気持ちを持っているだけでは自己満足で、相手に伝らないし

表面的なスキルをただマニュアル通りやって見せても、信頼関係は築けません。

想いと行動は一体となって初めてコミュニケーションがとれるので、頭だけの傾聴、心だけの傾聴にならないよう、練習をして思考と感情をつないでいきましょう。

以上、うなずき、あいづちのまとめでした。

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