記憶術をやり効率的な覚え方を身に着けてから
なぜ、小学生の頃、漢字を覚えるのが
苦手だったのか、理由がハッキリした。
理由は簡単。
「書きながら、覚えようとしていた」
から。
書くには2種類、覚えるには3種類ある。
・書く1:書き順は無視して、とにかくその形の漢字を書く
・書く2:正しい書き順で書く
・覚える1:音読みを覚える
・覚える2:訓読みを覚える
・覚える3:正しい使い方(意味)を覚える
むかし漢字を覚えなければならない時は、
だいたい、この中の3~5個(全部)
を同時にやろうとしていた。
だから、脳が混乱して
なかなか覚えることができなかった。
覚えられなかった理由は、私の頭の悪さではなく、
覚える方法のマズさが原因だった。
・・・
脳には「一指示一行動」の原則がある。
脳は同時に複数の指示を受けると
混乱し、集中力と理解力を欠く。
何かを達成したい(させたい)ときには、
一指示したら、その行動を完了させる。
そして一つの行動が完了してから、
つぎの指示を出し、また行動を起こさせる。
これを繰り返すのがいい。
そのほうが、正確に、効率的に、
同じ品質で物事が前に進む。
一指示一行動は、様々な場面で使える。
私は講座を進めるときにも、頻繁に使っている。
「ノートの新しいページを開けてください」
↓
「左上から、下に向かって1~20番まで番号を書いてください。」
↓
「書き終わったらペンを置いてお待ちください。」
↓
「体をこちらにくるっと向けて、前を向いてください。」
このように、一つずつ伝えて
ひとつの行動が完了してから、
つぎの指示を与えることで、
速度と質のばらつきが起こらなくなる。
場づくりをするファシリテーション力が上がる。
この指示をまとめて伝えたらどうなるだろう?
「ノートの新しいページを開いて、左上から下に向かって1から20番まで番号を書いてください。書き終わったらペンを置いてくるりと前を向いてください。」
これではちゃんと伝わらず、
どこかが抜けるというのは容易に想像がつく。
余談だけれど、もし、
どうしても複数の指示を
同時に与えなければいけない時は
2つのことに気を付けて伝えるといい。
①さきに全体の正確な数を伝えておく
「いまから5つのことをお伝えします」
「このあと3分間時間を差し上げます」
数にまつわる情報を先に与えておくことで、
脳は安心して受け取る準備ができる。
(結婚式のスピーチや会議が退屈なのは、いつ、何個で話が終わるかわらかないから)
②3回以上繰り返して伝える
どんなに簡単な指示でも、
1回でちゃんと理解できるほど
人は話に集中していない。
それは心がけが足りないからではなく、
脳のレベルで見ればあたりまえ。
最低3回繰り返して伝えることで、
ようやく聴く耳をこちらに向けてくれる。
・・・
たとえば、あなたが指示を出す側の人だったとしよう。
そして、相手に
「言ったことをちゃんと聴いていない」
と不満を持っていたとしたら、
それは、指示を出した人の能力の責任が
90%以上と思ったほうがいい。
人間の脳の動き方についての無知からおこる
マネジメント能力の欠如。
ただ「言った」「伝えた」だけで
伝わると思う方がおかしい。
「脳に入るように伝えた」かどうか。
上のことを参考にして、伝え方を改善しよう。
・・・
では、一指示一行動を漢字を覚えることに
当てはめたらどうなるだろうか。
やり方はいろいろあっていいが、
例えば、こんな風になる。
-------------------
1.実際に覚える総数を確定させる
-------------------
・与えられた対象数は何個か?
例)宿題として100個覚えて来なさいと言われた
・与えられた対象数の中から、すでに覚えている数(「正しく書けて(書く1&2)」「覚えている(覚える1&2&3)」)を除外する
・与えられた対象数ーすでに覚えている数=実際に覚える数
-------------------
2.いま、これから覚える数を決める
-------------------
・覚えなければいけない総数が仮に90個だったとしたら、90個を10個ずつ9の塊に分解して覚えようと方針を決める。
-------------------
3.とりあえず書けるようにする
-------------------
書き順は無視していいので、とりあえず気持ちよく書ける容認する(書ける1)
-------------------
4.正しく書けるようにする
-------------------
書けるようになったら、正しいか基準に修正する(書ける2)
-------------------
5.音読みを覚える
-------------------
(覚える1)
-------------------
6.訓読みを覚える
-------------------
(覚える2)
-------------------
7.正しい使い方を覚える
-------------------
(覚える3)
-------------------
8.アウトプットして確認する
-------------------
・何も見ずに書いてみて、自信をもって正しい順番で書けてるか?
・漢字を見て、音訓両方を言えて、例文を最低1つその場で作っていえるか?
-------------------
9.数を減らす
-------------------
気持ちよくアウトプットできたものは、
もうしばらく復習の必要はない。
翌朝にでも、もう一度気持ちよく
アウトプットしてみてできれば、
知識として脳に受け付けられている自信が持てるだろう。
気持ちよく合プットできなかったものだけを
覚えて行けばいい。
・・・
もしかしたら、とりあえず書いて見たものが(書ける1)
たまたま正しい書き方であることもあるかもしれない。
意味を覚えながら、同時に正しい使い方が
すんなり理解できてしまうものもあるかもしれない。
それは、それでラッキーと思えばいい。
でも、たまにラッキーはあっても、
それぞれの作業をごちゃ混ぜにしてはいけない。
脳に「書きながら覚えるんだ」と
複数の命令をけっして脳に送らない。
脳への命令は一つ。
書き方をやっているときは、書き方に徹する。
覚えることをしているときは、
覚えることに徹するのがいい。
・・・
私はよく「分ける=分かる」という。
一指示一行動もそれと同じ。
たとえば、
複数の色の毛糸が絡み合っている
かたまりがあったとする。
量は多くても、まず赤い糸は赤い糸。
青い糸は青い糸。
黄色い糸は黄色い糸だけの
同色のかたまりに分けてあげる。
そして脳に
「いまから赤い糸だけを処理すんだぞ」
と命令してやれば、脳は動きやすくなる。
赤い糸のかたまりの量が膨大なら、
そのかたまりを、いくつかに等分してあげる。
そして、
「いまから10ある赤い糸かたまりの中から、1番目のかたまりを処理するんだぞ」
と言ってやれば、やはり脳は動きやすくなる。
「分ける」のは一指示一行動にして
脳を動きやすくするための
準備と考えたらしい。
いわゆるスモールステップというやつだ。
このような物事の進め方は
感じを覚えるときだけでなく、
ビジネスの場でも、教育の場でも
有効に使えると分かるだろう。
【この言葉を自分に言ってみよう!】
「たくさんのことを同時にやろうとしていないか?」
「頭が悪い」「集中力がない」「効率的にできない」
と言っている人はみんな、
脳の原則に反したことを
やろうとしているからそうなります。
<お知らせ>
個人の能力の違いのせいにする前に、
あたりまえの脳の使い方を身につけませんか?
効率的な脳の使い方を身に着けるための
初心者のための記憶術を
9月1~2日に久しぶりに開催します。
↓
http://bit.ly/2hBL8Fi