長年、講師業をしてるとパッと見で、「学習がはかどっている人」と「はかどっていない人」を見分けることができるようになりました。
さきに結論をいってしまうと、学習がはかどっている人というのは、ノートをあまり「とらない人」です。
一生懸命ノートをとっている人ほど、ほとんど理解していないことが多いです。
その差は、講座の間によく入れる質問を受け付けるときに出てきます。
ノートを一生懸命とっていた人ほど、質問が出にくい傾向があります。
ノートをよくとっていた人は、「質問はありますか?」と訊くと、ノートをめくりはじめます。
つまり一生懸命書いたノートに答え(疑問点)が書いてあるはず!と脳が無意識に思うからそのように行動するのでしょう。
でも、ノートはあまりとらず、こちらにしっかり目を向けて聴いていた人は、すぐに質問の手が挙がります。
目を向け耳を向け真剣に聴いているので、納得したり、疑問に思ったり、さまざま感じながら聴いているので、「何がわかっていて、何がわかっていないか」答え(疑問点)はすでに、その人の中に貯まっているのです。
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人間は同時に2つのことに集中することが出来ません。
マルチタスクをしている最中も、集中できるものは1つだけです。
書くことに集中していると、聴くことがおろそかになります。
一杯メモを取っているので、あとからノートを見ると一生懸命勉強した気分になりがちです。
でも、書いている時点ではまだ何も知識になっていないので、アプトプットして使える状態にありません。
ノートを真剣にとる人ほど、人の話を聴いていない傾向があります。
でも、ノートを一生懸命とる人の中にも、ちゃんと学習がはかどる人もいます。
どういうタイプの人かというと、ノートをとったあと、もう一度自宅でまとめ直す習慣がある人です。
そういう習慣をすでにもっている人は、ノートをたくさんとるほうが学習がはかどる人もいます。
でも、ノートを一生懸命とりたがる人の多くは、あとでそれをまとめ直すことはほぼしません。
「あとからノートを見ればわかるからいいや」と潜在意識が思っているので、
はじめから自分の中にしっかり取り入れて落とし込もうと思っていないのです。
ちゃんと理解できていないことがあるたびに先生、親、上司、先輩から叱られて、
「わからないならちゃんとノートをとれ!」と言われてきた間違った学習の弊害です。
ノートをとれば記録は残るので、記録のを残すにはノートは必要です。
でも「理解する」というのは記録ではありません。
記憶し納得することです。
一生懸命書けば書くほど出来なくなります。
ちゃんと理解させたいのに、ノートを一生懸命とらせるのは、脳の特性から見ると矛盾です。
指導をする立場の方は、いままで伝えていた方法が間違っていなかったか見直してみましょう。
①ちゃんと理解させたいなら、ノートは取らせない
②伝えた後に「何も見ず」復唱してもらう
③クリアに復唱で気なかったところを再度伝えなおす
これが最も理解が深まる方法です。
勉強はひたすらノートに書いてするものという常識が通じるのは一般的に中学生くらいまでです。
脳が発達して大人になってくると、体験と感動が伴わないと記憶がなかなかできません。
目を向け、耳を向け、心が動くように聴く方法が最適です。
「深く理解したいなら、ノートは取らないほうがいい」
傾聴力と記憶力、あながち無関係ではないんですね。
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