季節はずれの人生でも生きる価値はある

ひんやりとした秋の朝、出勤しようと家を出た。

すると、駐車場の壁に、色鮮やかな黄緑色をした、細長い物体が目にとまった。

イモ虫の(ような)幼虫だった。

多くの虫は、夏に活躍をする。

まもなく紅葉も深まろうかというこの時節から、ようやくイモ虫になっているようではもう遅いのではないか?

いまからでは、成虫になるために必要な栄養を充分に摂ることすら、できないのではないか?

自動車のボンネットが結露するほど、ひんやりとした秋の朝に、タイミング悪く、この世に生を受けたイモ虫が心配になった。

・・・

イモ虫の命はきっと一年で終わる。

だから、成長するのにちょうどいい季節のタイミングは一年に一回・・・、いや人生(イモ虫生?)に一回しかやってこないに違いない。

でも、幸いにして私たち人間はイモ虫と違い、人生の中で四季を何度も味わうことができる。

でも、それがゆえにまた、自分の人生に最適な季節が一体いつなのか?そもそもどんな季節を自分は生きているのか?わからなくなり、混乱の原因にもなる。

たとえば、義務教育で学校に通うべき季節は決まっている。

でも、決められたその時期が、そこ子の人生にとって学校に通う最適な時期かどうかは、よくわからない。

みんなとは違う、あとになって通い直した方が、いい人生を送れることもある。

下手にみんなと同じ時期に無理して通うことで、人生がくるうこともあるかもしれない。
(もちろん、そうでないこともある)

イモ虫の場合、本能に従い子孫を未来に繋ぐというシンプルな目的で生きている。

だから、季節の種類も迷わず分かりやすい。

でも、人の人生はそうかいかない。

人の人生は、イモ虫のそれとは違い、何年、何十年と経験できてしまうがゆえに、どの季節が最適なのか、そしてそもそも自分がいったいどんな人生の季節を生きているのかさえ判断ができなかったりする。

人が生きる季節の種類は、人それぞれ、様々。

親が、自分が過ごした季節の種類を子に当てはめて、子どもの人生を割り算することはできない。

・・・

40歳を過ぎてすぐ、30代までは考えもしなかった、体の変化を感じることが増えてきた。

昔は、抜けば簡単に隠せた白髪も、もしいま全部抜いてしまえば、ハゲになるしかないほど増え、手が付けられないし。

ある日、急に四十肩になって以来、2年間も苦しんだ。
(今はほぼ全快!)

何年も、何回も四季を越えられるということは、幸せでありがたい反面、自分という人間の季節の種類が何なのか混乱し、また自分で決めなければいけないしんどさもある。

・・・

季節外れのイモ虫を見ながら思った。

「自分はいま、何を達成するための人生の季節の上を歩いているのだろうか?」

「その人生の季節の中で、いったいどの位置にいるのだろうか?」

「すでに季節はずれに、なってしまってはいないだろうか?」。

春夏秋冬、起承転結の自覚がない、でもきっと「何か」の季節の上にいるはずの自分は、もしかしたら、世の中に四季があることを頭ではきっと理解できていない、タイミングが悪いイモ虫と同じ存在なのかもしれない。

だとしたら、イモ虫の人生を愁うより、自分の心配をしたほうがよさそうだ。

すでに、適切な季節が過ぎてしまった部分もきっとあるだろう。

でも、人は何度も四季を巡っていけることで、自分の人生目的を新たに決めて変えていくことをきっと許されている。

いますでに、取り返しがつかない季節のレールの上にいるならば、いまからでも遅くない。

別の季節を選び直して、そちらに乗り換えるチャンスは、きっとまだ残されている。

いまの自分の立ち位置は、季節外れのイモ虫と同じかもしれない。

でもきっと、イモ虫よりはまだ選べる分、恵まれているに違いない。

翌日には当然その場からいなくなった、季節はずれでも一生懸命生きているはずのイモ虫を思い、まだ自分にもやれることはたくさんあるはずと、気持ちを入れなおした。

その場に立ち止まっていなかった、イモ虫を見習おう。

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