自分の世界に引きずり込まない

「アメリカンコーヒーをください」

ある時喫茶店で注文しました。

すると店員さんが

「アメリカンコーヒーは、ブレンドコーヒーにお湯を足したものになりますが、よろしいですか?」

と訊いてきた。

実は本場の「アメリカン」が何かは私は知らない。

でも、コーヒー好きだけれど苦いコーヒーが苦手な私は、
そのお湯で薄めたのがまさに欲しかった。

よろこんで「はい」と答えた。

しばらくしてコーヒーがなくなったので
近くを通った店員さんに訊いてみました。

こちらのチェーン店では、
(よく他店である)コーヒーのお替りできますか?

店員さん「はい。レジでレシートをお見せいただければ150円(割引価格)でお代わりいただけます」

いわれるがまま、レジに向かった。

レジにいた別の店員さんにレシートを見せ、

「これでアメリカンコーヒーのお代わりをください」

と注文した。

すると、店員さんから、

店員さん「こちらのレシートでは、お代わりは出来ません」

と言われた。

「さっきの店員さんが、レシート見せればお代わりできるっていってましたよ」

と伝えると、

店員さん「はい。コーヒーはお代わりできますが、アメリカンコーヒーはお代わりできません」

私「???」

一瞬、何を言っているのかワケがわからなくなり混乱した。

店員さんは続けた。

店員さん「アメリカンコーヒーはコーヒーではありませんので」

「では何がコーヒーなんですか?」

店員さん「ブレンドコーヒーがコーヒーです。アメリカンコーヒーは、コーヒーではないので、割引できません。」

・・・ここまで話して、ようやく事情が見えてきた。

この店では「コーヒー=ブレンドコーヒー」と定義されているらしい。

でも内部の決まりごとを前提に、話されても顧客に通じるだろうか?

それに、最初購入したとき、店員さんは確かにこう言った。

「アメリカンコーヒーはブレンドコーヒーにお湯を足したものになりますが、よろしいですか?」

と。

お湯で薄めただけの値段が同じ商品でも、お代わりの対象にはならないらしい。

私は苦笑して、新たにブレンドコーヒーを注文した。
(次はお代わりできるように!)

・・・

言葉はその人の精神的な居場所を表します。

それは、傾聴しようとするときに、話して下さっている人の
気持ちが言葉に表れるだけではありません。

聴き手であるこちらの言葉づかいにも、
聴き手の精神的な居場所が表れるのです。

傾聴ではよく言います。

「相手が使った言葉でくり返しをしなければいけない理由。それは自分の精神的な世界に相手を引きずり込むのではなく、相手の精神的な世界をのぞかせていただきたいから」

と。

「アメリカンコーヒーだってコーヒーだろ!」

と訴えてくる、心の中の別の自分の声に気づきつつそれを無視をして(笑)、
次はお代わりすべく「コーヒー」を飲み進めたのでありました。

・・・

アメリカンコーヒーはコーヒーではないというのが当たり前の世界がある・・・。

これも発見であります。

相手の世界にどっぷりとつかってみることで新しい発見と、
学びがあったのであります。

しっかり体験すれば、相手が言った言葉を頭で覚える必要はありません。

体感したことから自然と言葉も意味も記憶にも残ります。

・相手の世界を味わいに行く
・考えるより感じる

大切であります。

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相手の気持ちがわかるとは、
相手の精神的な世界に触れに行くこと。

そんな聴き方に興味がある方は、
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