聴いている人、聴いていない人

1年前の今日書いたBLOGを見てみたら、

「黙ってたら聴いていることになるのか?」

というタイトルの記事でした。

(1年前の記事はこちら→)

記事の内容は、いつも通りで

たいして面白いわけはないというのは、

今も昔も変わっていませんね(笑)。

でもその平凡な記事を読みながら、

他にも「変わってないな」と思うものがありました。

それは何かといいますと、

「黙ってたら聴いているだけじゃ、聴いていることにならないよな」

という思いです。

これもまた1年前・・・いいえ、

傾聴を始めた11年前から変わっていない思いであります。

・・・

他人の話をちゃんと聴こうとするときに

「黙ること=聴くこと」

と、勘違いしている人が多いように見えます。

パッと見どちらも「黙っている」姿は同じでも、

中身で見ると「黙る」ことと「聴く」ことと

まったく違うんですね。

何が違うかといいますと、

「何のために黙るのか?」

の理由が違うわけです。

「黙る=聴く事」と思っている人は

「黙るために黙っている」

のであります。

一方、本当に聴こうとして黙っている人は、

黙るという行為をしているのは

その先に、実現したい「何か」があるから。

それをするためには

「黙る必要があって」

黙っているだけなのです。

また、

「聴いていますよ」という

自分の姿勢をアピールする目的で

聴く人もいるかもしれません。

目的にいい悪いはありませんが、

「いい人アピールする」こと、

「聴くこと」はやはり別のことです。

多くの人が「黙る=聴く」と

勘違いしていると同時に、

聴く=邪魔しないで

「ちゃんと私はあなたの話を聴こうとしていますよ」

「誠実な姿勢を見せること=聴く事」

と思っている人もいるでしょう。

言葉は悪いですがひらたく言うと

相手の話の邪魔をしない

自分の姿を見せることで

「私、いい人なんです」

と中身の理解よりも、

自分をアピールることが

目的になってしまっているのではないでしょうか。

するとつぎに

「話の中身を聞こう」

ということで、

「事実関係」を一生懸命理解しようとする人がいます。

・・・

事実関係も理解して結構です。

でも、いま目の前で話している人が

悩みごとを話しているとしたら、

相手がわかって欲しいのは

事実関係か?

というとそうではありません。

その事実について、

なにか「思う」ところがあるから、

話そうという「欲求」が

生まれて話しているわけです。

たとえビジネスのような

事実関係だけで組み立てられたように見える会話でも、

その事実を話したくなっている、

その人の「想い=感情」が必ずあります。

(箇条書きされた事実を、ロボットのように棒読みしているのでない限り)

・・・長くなりましたが、

「聴く」ということはつまり、

黙ることでも、

自分のいい人アピールをすることでもなくて、

「話している内容と、それに付随するその人の想い(感情)をわかろう」

という目的がまずあるのです。

その目的を実現するためには、

相手の話をさえぎってしまうと、

感情が出てきにくくなるから、

自分のことは言わなくなりますが、

それは決して「黙ろう」としているのではなく、

相手を「分かりたい」という

自分の中の欲求を満たそうとすると、

「口を開きたくなくなる」

だけです。

つまり表面的には黙っている2つの行為は同じに見えても、

内面的には一方は言いたいけれど「我慢している」状態。

もう一方は、

自分の目的を達したいので「話したくない」状態。

その行為の意味合いはまったく違います。

なにごとも初期の段階は、

まず見ながらマネしてみることが大切ですが

それをずっと続けていてはいけません。

真似をする意味はあくまで、

そのような形にならざるを得ない

意味を理解するためであり

真似すること自体を目的にしてしまうと、

軸がぶれてしまいますね。

【この言葉を自分に言ってみよう!】

「私の中に、相手を事実と感情の両面から理解したいという欲求があれば、スキルに魂がこもる」

話を聴く事に限った話ではありませんが、

結局なにごとも

自分の中の欲求を知り、

欲求に従った目的をもててはじめて、

そこに到達するために必要な方法、手段が決まり、

それをやる意味と価値が

生まれるのではないでしょうか?

欲求がないまま、形だけ気にして

やり方だけで解決しようとするから

なおさら悩みが深くなるというわけです。

「どういう聞き方が正しい聴き方ですか?」

と外に答えを求めたくなるうちは

まだ、自分の中の欲求と目的が不明確なので

他人にどうするかを考える前に、

自分がどうあるかをよく理解していきたいものです。

自分さえ理解できれば、

他人を理解するのは、もう半分できたのと同じです。

これをお読みいただいているあなたは、

どんな欲求を満たしたくて、

何を目的として話を聴いていますか?

また、

その聴き方は使い分けしているでしょうか?

<お知らせ>

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