共感はどれか?

看護の世界でも、介護の世界でも

「共感が大事」

ということは、教科書に書かれているくらい

みなさんに知られています。

「受容、共感、一致」

とか、

「受容、共感、傾聴」

と教わるのだそうです。

受容というの概念は、みなさんの想像通り

価値判断なしに、相手をそのまま受け入れること。

言葉でいうなら、

「大丈夫だよ」

という感じです。

でも、共感は、多くの人が思っていることと

だいぶ違うかもしれません。

以下の例文の中で、

あなたが思う「共感」に近いものはあるでしょうか?

1.「私も同じような経験したことあるから、よくわかるよ」

2.「それでいいんだよ」

3.「そういうことあるよね」

4.「あなたは、それでいいと思うよ」

いかがでしょうか?

実はうえの4つの中に、共感は一つもありません。

まず、1番と2番は「同感」的な理解に分類されます。

同感=「私と同じ」「私も同じ」「私の考えに沿っている」

という風に、「わたし」と比較して、

同じかどうか理解する方法です。

同感的な理解中でも1番は、自分の経験や知識に

相手の状況を当てはめて理解する

「分析的思考」。

2番は、自分の持つ価値観と比較していい悪いを判断する

「判断的思考」。

3番は、自分とは意見が違う時などにとりがちな態度ですが、

「みんな同じだよ」

「普通そうでしょ」

と、他の人とひとくくりにしたり、

「まさに、『親の心子知らず』だね」

などと、

四字熟語やことわざに状況を当てはめて

「よくあること」と説得を試みます。

これを「一般化」といいます。

次に4番目。

「あなたは、それでいいと思うよ」

という表現は、一見、相手のあり方を

受け入れているようにも見えますが、

これも共感ではありません。

これもまた「いい」か「悪い」か

自分の判断を伝えているだけの、

判断的思考になります。

つまり、

上の4つには、共感的な理解はありません。

でも、日常生活は大体上の4つで済んでしまいますよね。

・・・

「共感は大切」と頭で理解することはできても、

実際に共感して聞いてもらった体験がないとできません。

また仮に、聞いてもらって「いいな」と感じても、

それが「同感」なのか?「共感」なのか?

区別はできているでしょうか。

もし話を聞くことに、心地よさだけを求めるなら、

聴き手の人は、とことん自分という人間の

本心を覆い隠して、フタをして、

相手に迎合し、相手が喜ぶことだけを言えばいいでしょう。

でも、その聴き方は必ずいつか苦しくなります。

そのような態度は相手に嘘をつくことになるだけでなく、

自分に対しても嘘をつくことになるからです。

本当の共感を知ることなく、

共感しているフリをしていて、

「人と向き合うのがツラくなってしまった・・・」

という人はたくさんいます。

人は、自分に嘘をついて、

自分との関係を壊しながら、

他の人とだけ良い関係を作ることはできないんですね。

・・・

では、共感とは何か?

言葉の言い方ではなくて、

あなたの心の感じ方の目安として参考にしてみてください。

(↑大事なポイントです)

「あなたがそう思うのが本当にわかる」

「あなたにとって、それが本当に大切なんだよね」

「そういう価値観を持つあなたであれば、当然そう考える(する)でしょう」

「そのように思うあなたが、そのような状況におかれれば、そう行動したというのは本当によくわかります」

「そのような思いがあったから、そうせざるを得なかったんですね。」

と、

その人に何が大切か?

どのような思いに起因して、

そうしたく(せざるを得ない)と思ったのか?

その思い方を理解するのが共感であり、

それがわかるまで、傾聴のスキルも使い聴いていきます。

なので、

「あなたはそれでいいんじゃない」

は、やはり共感ではありません。

聴き手の中にはいつも、

同感(できるorできない)という思いが存在します。

それと同居させて、心が共感できるまで話を聴き、

共感できた相手のあり方について、

「わたし」主語ではなく、

「あなた」主語で伝える。

語尾は「いい悪い」ではなく、

「わかる(わかった)」

になります。

結果として二つ合わせて、

「あたなは〜とわかった」という形になるわけです。

その「わかる」の中身は、対話の中で

実際に語ってくれた思いだけにして、

「きっとこうだろう」

「多分そういう意味だ」

「裏にはこういう意味が隠されれているに違いない」

という、

妄想ゲーム、分析ゲームにしません。

(分析している自分に気づく)。

難しいのは当たり前。

難しいからこそ、正しく理解してから

練習をするのです。

一度、聴いただけでできると思ったら、

大間違いでしょう。

【この言葉を自分に言ってみよう!】

「わたしは共感を理解しているだろうか?」

今書いた定義はわたしなりに理解してる定義です。

あなたなりの定義をしてみてください。

言葉をちゃんと定義してから練習した方が、

傾聴の練習がはかどるはずです。

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