10年ほど前のこと。
当時取得した民間の
カウンセラー学校の仲間の一人が、
講演会をすることになりまして。
テーマは、
「若いお母さんを支援する」
ということでした。
知人自身、いまは成人した娘さんがいて、
小さいころ、子育てに大変苦労をした方でして。
若いお母さんに同じ苦労を
させたくないと思ったのでしょう。
講演会をするのが初めてなので、
カウンセラー仲間の私たちの前で
一度プレ講演会を見てもらい、
意見が欲しいというのです。
仲間数人で快くお受けしました。
数日後、プレ講演会を見に行きました。
「お母さん方も、子育てでとても苦労されていると思います・・・」
出だしはこんな感じで、
お母さんたちの苦労に寄りそう形で始まりました。
ところが、
10分もしないうち話がちょっと
違う雰囲気になってきまして。
「子供は、お母さんにわかって欲しい、認めて欲しいと思っています。」
そして、ついには
「どうか、子供の気持ちをわかってあげてください!」
「そうすれば、みんなが幸せになれます!」
と。
プレ講演が終わり、
意見を求められたので質問してみました。
私「今回の講演のテーマは何でしたでしょうか?」
知人「お母さんたちを支えてあげたいということです。どうでしたか?」
私「・・・そうですね。だとすると、先ほど『どうか、子供の気持ちをわかってあげて!』とおっしゃっていましたが、その言葉を聞いたお母さんは、いわれてホッと支えられた感じがしそうでしょうか?」
一瞬、何を言われたのか
わからなかったのでしょう。
知人はしばし「えっ?」という感じで止まったあと、
顔から血の気が引いて顔面蒼白になってしまいました。
知人「わ、私、お母さんを責めてしまいました・・・」
さすが、
ひとこと聴いて気付くところが
カウンセラーだなと思ったのですが、知人は、
「お母さんをわかってあげたい」
はずだったのに、いつのまにかお母さんを
「わからせたい」
お説教したい人になっていたのです。
もし、本当にお母さんの気持ちを
「わかってあげる」ならこんな感じになるでしょうか。
「子供の気持ちをわかってあげたい・・・。そう思っても、なかなかできなくて、そんな自分が親ではだめだと責めている人もいるでしょう。優しくしいけれどできない、そんな自分がイヤダと思っているかもしれません。でもやっぱり、やさしくしたい気持ちはあっても、疲れていたり、不安だったりつらく当たってしまうことってありますよね。今日ここにいらっしゃっているという時点ですでに、本当にみなさんが子供を本当に大切にしたいと思われているのがわかります。どうか、そんな自分を責めないであげてください。「私、よく頑張ってるよ」って、子どもの気持ちを受け止めてあげられないときは、一派一杯でも頑張ってる、自分の気持ちをわかってあげてみて欲しいなと思います。だって、精いっぱいやってるんだから・・・。」
知人は、むかし娘さんの子育てで大変苦労しました。
いまはとても良い関係になっています。
いまの自分なら若いお母さんの
支援ができると思ったのでしょう。
それは自然な発想です。
でも、知人は、いま娘さんとの関係はいいのだけれど
実は、
「昔の自分を責め続けていた」
のです。
同年代のお母さん支援したいという欲求も、
過去の穴埋めしたいと思う
無意識が動機になっていたのかもしれません。
だから
お母さんのつらさを
「分かってあげたい」
はずが、
自分を責める思いに引っ張られて、
いつのまにか立ち位置がぶれて、
子供の立場を
「わからせたい人」
に変身してしまったのです。
・・・
これをお読みいただいている方の中にも、
相談や支援の活動をしている方もいると思います。
もし本当に支援をしたいのであれば、
相手に何をしたいか考える以前に
「どうして私の中には、それをしたい欲求があるのか」
自分の中にある内的動機を見つめてみましょう。
してあげる行動がいくら素晴らしくても、
動機がネガティブな内的動機だと、
大切な場面で、立ち位置がぶれて
手のひら返しをして、助けてあげたいはずの人を
逆に傷つけてしまうかもしれれません。
【この言葉を自分に言ってみよう!】
「それをしたい、私の中の理由は何?」
他人を自分の心の穴埋めの道具として
使っては、よき思いのスパイラルではなく
責めのスパイラルになってしまいます。
気を付けましょう。
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本当の意味で支援する聴き方をするには、
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