傾聴に期待するもの

きのうの記事

「支えるより、抱えられるように聴く(http://bit.ly/2sSXjpS)」

が非常に多くの反応をいただいたので、

個人的な感覚だけでなく、

理論的な話も少し含めて今日ももう少し

傾聴とは何かについて考えてみたいと思います。

・・・

自己回復というのは

聴いてあげるから起きるのではない。

自分で自分の心の声を

聴けるようになってはじめて起きる。

そこを勘違いしている人が多い。

「意味ある気づきが起きやすいモードに入ること」

こそ重要。

・・・

傾聴の祖C.ロジャーズが1950年代に

カートナーらと行った共同研究の結果は衝撃的だった。

その研究の結果、

最初の2、3回のカウンセリングで

「内的体験の探索」

が始まらなかったクライエントは

その後、50回、100回カウンセリングしても

うまくいかいないことが分かった。

つまり

「最初の2,3回が勝負」。

・・・

カウンセリングの成否は

・クライエントがどのような内容の話を語っているか?

・カウンセラーがどのような適切な対応、アドバイスをしているか?

・クライエントが正しい自己理解に至っているか?

には「関係がない」

内的体験とは、

「どのような仕方で自分に向き合っているか?」

のこと。

自分との向き合い方が正しければ、

よいカウンセリングの結果に結びつきやすい。

では、

「自分との良い向き合い方」

とは何だろう?

C.パートンはこう言っている。

①出来事を淡々と語る「語り部モード」ではないこと

②客観的に自己分析する「知的分析モード」ではないこと

③感情任せに発散する「感情ぶちまけモード」ではないこと

そうではなくて

クライエントが、自分の内面に意識向けながら、

「確かにある気がするけれども、それはまだあいまいで、よくわからない物であったりする。でも確かに意味がある何かがありそうだと感じている自分の内側に、丁寧に触れて見つめて行こうとする姿勢」

つまり、自分の内側への優しい傾聴が起きている

「自己内面探索モード」

に入っている状態こそ、

カウンセリングが成功する

条件だということが分かった。

ジェンドリンはこの明確に説明できない

(でも自分の中にある)

あいまいな感じのことを

「フェルトセンス」

といい、

それを丁寧に触れていくことを

「フォーカシング(自分への傾聴)」

と呼んだ。

「自己内面探索モード」こそ、

気づきを与え、心の自立をもたらすという結論に至った。

・・・

個人的には、そもそも「傾聴する」とは初めから

「自分への傾聴を促す」ことだと理解している。

別にカウンセリングをする人でなくても、

傾聴をしようというのであれば

「自分への傾聴」により、話し手に

よき事が起きるのを期待(目指す?)しないで

傾聴するというなら、私には傾聴する意味が分からない。

昨日の記事と重複するが、

「話を聴いてあげたら相手が喜んだ」

なんて、自分への傾聴と(ほぼ)関係もない。

聴き手自身が自己満足として

自分の幸せを満たそうというのではなく

本当にその人の幸せを願うなら、

ぜひ自分への傾聴が進むように

聴いてみたらいいと思う。

相手が喜ぶかどうかを判断基準に

する程度の聴き方は、

表面的すぎで薄っぺらな聴き方になるだろう。

(レベル1の傾聴?)

・・・

カウンセリングであれば、

自分への傾聴状態をいかに早く作れるかが課題。

自分を優しく、あたたかく、受容的に、

いい悪いではなく、分析的でなく、解決思考でもなく、

理解しようとする姿勢が生まれて初めて、

気づきと癒しが生まれる。

そこでは、聴き手自身がいかに自分に対して

自己成長、自己解決できる力を

信じられているかが問われる。

・・・

では、自己内面探索を起こせる

聞き方ができる人とは、どんな人だろう?

きっと相手と向き合あったとき

(そして常日頃から)、

自分に対して自己探索モードに

入れる人ではないだろうか。

「自分への傾聴上手=人への傾聴上手」

なのは当たり前。

・・・

自分の内面を感じ取ろうと、

自分の内面に意識が向いている状態を、

ロジャーズは「一致」と呼び、

ジェンドリンは「フォーカシング」と呼んだ。

一致についてよく心理学の講座などでも

ロジャーズの書籍で

「仮面をかぶらないこと」

と書かれている部分だけ引用されることが多い。

「嘘をつかないことです。」

「思ってもないことを言わないことです。」

と、みんなうまく説明できないから

軽く、差しさわりなく説明されることが多い。

でもそれは、間違いではないけれど

一致の概念のほんの端っこ、一面にすぎない。

自分の内面の感覚に意識を向けながら

感じ取ろうとすることこそ「一致」。

【この言葉を自分に言ってみよう!】

「適当な理解は、適当な結果しか生み出さない。」

私が傾聴に期待していることはまさにこの、

内的探索がお互いにはじまること。

それにより、

自分も相手も成長していく体験が得られることに

傾聴の最大かつ唯一の魅力を感じる。

聴いてあげたら、元気になった・・・。

べつに元気になってもいいのだけれど、

「AをしたらBになる」

という単純な思考だけでは、あまりに物足りないし、

傾聴がもったいなく感じる。

・・・

傾聴の効果や、一致について

非常にわかりやすく書かれている本があります。

今回の説明はその本から引用させていただきました。

「ほんものの傾聴を学ぶ」諸富祥彦(誠信書房)
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傾聴の基本を知りたい方は、この本と、

私の著書の2冊があれば十分です(笑)。

「聴く力の強化書」岩松正史(自由国民社)
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http://amzn.to/2tra1N8

<お知らせ>

いまこの文章を読んで何か違和感を感じている

自分に意識が向いているなら、

その状態そのものが「一致」し、

自分に対して傾聴しているということです。

表面的な理解だけでは物足りない方は、

傾聴1日講座で傾聴する人に本当に必要な

傾聴マインドを深めてみませんか?

初心者の方もご安心ください。

今回ここに書いた文章のように、

難しい話はしません(笑)。

7月5日の傾聴1日講座は残り2席。

15日の週末コースはまだ空きがあります。

7月は大阪開催もあるので楽しみです。
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