心配は誰のもの?

「あなたのことを心配していってあげてるんだよ」

そう言われてうれしいときもあれば、

わずらわしいときもある。

「心配」は自分の中の感情。

自分の心に自然と湧き上がってくるもの。

相手のためにしようと思ってできるものではない。

・・・

「5月末開店!ワイン酒場」

通勤路沿いの小さな小さな、

空き店舗だった場所に、

貼り紙がはられて、もう3ヶ月になる。

そしてときはすでに、7月になっていた。

貼り紙がはられた当初から、

店舗の改装工事は、とても5月末には

間に合わいそうにない、ゆっくりペースだった。

もし、個人でビジネス始めるなら

2ヶ月も遅れたら、きっと大変だろう…。

家族がいるなら、その間

どうやって食いつないでいるのだろうか?

もしかして、悪徳工事業者に

だまされているのではないか?

顔も見たことがない、

知らない他人のことが少し心配だった。

・・・

7月20日を過ぎた頃、

ようやくワイン酒場は開店した。

知人たちもお祝いに来ているらしく、

開店してしばらく店は、

賑わっているように見えた。

でもある日、帰宅途中、

開店している店の中を見て驚いた。

店の小ささに不釣りあいな、

大きなダイニングテーブルが2つあった。

イスは10席しかなかった。

人数でいえば、3人組が2グループ。

2人ペアが2グループで満席になるレイアウト。

3人ほど並べそうな小さな

カウンターらしきものもあるが、椅子はない。

半分素人の私から見ても、

あきらかに席が少なかった。

「立ち飲みでもさせるつもりなのだろうか?」

一時期の立ち飲みブームに陰りがでてきた昨今、

俺のイタリアンも、いきなりステーキも

椅子を用意しはじめている。

改装もかなり入念にしていたし、

「これで、本当に利益が出せるのだろうか?」

先日までしていた開店日の心配が、

こんどは閉店日の心配になっていた。

駅から離れた川沿いの、小さな一軒家。

いい立地でもないこの場所で、

キッチンも入れて12坪ほどしかないこの店が

生き残れる可能性はあまりないように思えた。

客の回転率も考えず店を作ったのだとしたら

なんと無謀なことだろう。

余計なお世話だけれど、

私の中では勝手に、このお店は

2年も持たずに消えていく

運命にしか思えなくなっていた。

そして勝手に心が痛んだ。

いや・・・、

でも、もしかしたらものすごく単価の高い

素晴らしいウリがあるのかもしれない。

実はかなりのやり手の実業家がオーナーで、

戦略的にこのような意表を突いた

スタイルにしているのかもしれない。

良くも悪くも「かもしれない」を

想像し始めたらきりがなくなってきた。

でも、一つだけハッキリしていることがある。

私がこの店の行く末を心配しても、

なんの意味もないということだ。

そのことだけは、確かだ。

勝手に心配していても、

何の役に立つわけでもない。

仮に妄想を1000%膨らませてみて、

私が心配をオーナーに伝えたとしよう。

仮に、その指摘が的確だったとしても、

現状を変える手立てなど、何も持っていない。

変えようもないことを指摘されても

迷惑なだけだろう。

私の心配を伝えることで、

私はすっきりしたとしても、

相手の不安を増やすだけなのではないだろうか。

心配を伝えてスッキリしたいのは、私だった。

「心配してあげているよ」

なんていうのはおこがましい。

私の感情の処理に、

他人を巻き込んではいけない。

・・・

いかがでしょう?

あなたは誰かに対して

「心配してあげている・・・」

と思ったことはないでしょうか?

もし、相手から先に「心配して欲しい」

と言われているなら、それもありでしょう。

でも、言われていないのに心配しているなら、

その心配は、相手にとっては迷惑な心配かもしれない。

あなたの中に芽生えた不安の種を

自分で抱えているのがつらくて、

つい言いたくなってしまっているだけかも知れない

そう自分を疑ってたほうがよさそうだ。

【この言葉を自分に言ってみよう!】

「それは自分の感情なのか?相手の感情なのか?」

「心配」は自分の中の感情。

自分の心に自然と湧き上がってくるもの。

「自分のため」を「人のため」と言ってしまうと、

人間関係のすれ違いが起きる。

「私が不安」

と伝えよう。

それが限界。

他人に何かを感じた時こそ、

自分の感情に気付くチャンスです。

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