受容しても肯定しない

いつもありがとうございます。

ガソリンスタンドの匂いが大好きな、岩松正史です。

いきなりですが、

以下のような経験はありますか?


・「そうですね」と相手の主張や意見に賛成を表明する

・「あなたはあなたでいるだけで素晴らしい」と無条件に存在を肯定する

・「あなたの実績は素晴らしいと」過去の実績を肯定する

・「あなたはよくやっている」と、いまの努力を肯定する

・「あなたにはきっと素晴らしい未来がある」と未来を肯定する

・「ありのままの自分を受け入れましょう」と、ありのままのすばらしさを肯定する

・「よくやったね!すごいね!」と成し遂げた事実を肯定する

・・・こういう接し方をした心当たりはありますか?

このような、接し方をすると

最終的に、相手を拒み、否定したことになりえます。

・・・心当たりがある人にはきっとショックですね。

なにせ、

よかれと思って親切でしていることでしょうから。

私はいつも思います。

人間関係で、最もコワイことの一つは何か?

それは、

「親切で人を傷つけること」

ではないかと。

悪意があれば、拒むことも挑むこともできます。

でも、悪意がない(でも傷つく)親切は、

拒むこともできず、

ただ無言で受け入れるしかありません。

抵抗の余地を奪うのですから、

ある意味とても残酷だなと。

そして、

親切を「された」ほうは

自己肯定感を下げていってしまうのに、

親切をしてあげたほうは、

してあげたことに喜んでいたりして・・・。

そういう、

「親切で人を傷つける人」

になりたいですか?

なりたくないですよね

・・・

では、どうしたら、

親切では人を傷つけずに済むのでしょうか?

コミュニケーションの範疇でいうなら、

それは「肯定」ではなく「受容」をすることでしょう。

上記であげた箇条書きの例はすべて「肯定」です。

肯定されるといっとき喜ぶかもしれません。

でも、

肯定し続けられると、

「ずっと肯定し続けられる自分で、いなければならない」

(そしてそれはできない)

と、苦しくなり始めます。

・「自分は素晴らしいと思わなければいけない」
 →でもそう思えない自分

・「素晴らしい実績だけを報告しなければならない」
 →素晴らしい実績など上げ続けられない自分

・「よくやっている。努力していると思われなければいけない」
 →ずっと頑張り続けると都などできない自分

・「素晴らしい未来があると信じなければいけない」
 →本当は未来に不安を感じてしまっている自分

・「ありのままを受け入れなければいけない」
 →ありのままを受け入れられていない、自信がない、自分を好きになれない自分

肯定をされれば、されるほど、

肯定された通りには出来ない(思えない)

「そのままの自分」の心を否定し

隠ぺいしなければいけなくなります。

・・・

傾聴の教科書にはよく受容(Unconditional positive regard)

は次のように訳されています。

「無条件の肯定的配慮」

でも、私だけでなく、

最近、発売になった、心理学者で

ロジャース関連の本をたくさん出している

諸富祥彦先生も教材の中ではっきり言っています。

「無条件の肯定的配慮」

という訳は誤解を招く。

「無条件の積極的関心」

がいい、と。

無条件の積極的関心とは、

クライエントの発言の一部分にだけ、

関心を向けるのではなく、

「無選択で関心を持つこと」

(=すべてに関心を持つ)

「Aという気持ちとBという気持ちがある」

といえば、

「Aという気持ちとBという気持ちがあるのですね」

と中身も数もそのまま受け止める。

・・・

「Aという気持ちも、Bという気持ちも、Cという気持ちも、そして、それとは別のモヤモヤしたはっきりしないものもある」

といわれれば、それもまた、

AもBもCもモヤモヤもすべて

そのまま取捨選択せず受け止める。

何か一つ素晴らしい

「ありのまま」という空想を作り出して、

それを賛美するのではなく

ありのままを受け入れられる自分も、

ありのままを受け入れられない自分も、

全部を「そのまま」

取捨選択せず、無条件に関心を向け、

理解し、受け止める。

それが、

無条件の肯定的関心であり、

傾聴でいう「受容」です。

・・・

半年ほど前に、創元社から発売の「受容」という本で

「無条件の積極的関心」

という言葉に初めてであったとき、

なんて適切でな表現だろうと

感銘を受け、文章に萌えました(笑)。

でも、まだまだ「肯定」という理解のほうが

一般的なように思っていました。

でも、有名な心理学者の先生たちも

それをはっきり訴え始めている以上、

もうその心配はなさそうです。

受容とは、肯定することでも、

配慮(遠慮)することでもない。

相手が発している感情を

取捨選択せず、そのまますべて

シンプルに受け止めればいい。

これから、もっと自信をもって

本物の傾聴を伝えていけそうです。

【この言葉を自分に言ってみよう!】

「肯定せず受容しよう」

この違いがスッキリ腑に落ちると

いい聴き手、いいカウンセラー、

いいセラピスト、いいコーチになれます。

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