「傾聴で聴いてあげたらいいでしょうか?」
とよく訊かれます。
数年前、政治哲学者マイケル・J.サンデルの「正義とは何か」が話題になりました。
いいか悪いかというのは正義と同じ深い問いです。
でも、聴くことに限らず、「これはいいことですか?悪いことですか?」と訊かれることは、
結構みなさんあるのではないでしょうか?
そんな時、これをお読みいただいているあなたなら、何と答えますか?
例えば、大阪に行きたい人が、仙台行きの東北新幹線に乗ろうとしていたら、明らかに間違っているなら
「それではダメです」と教えてあげるのは親切です。
そして当然、大阪行きの正解の東海道新幹線に乗ろうとしているなら「それでいいです」
と答えてあげるのが親切です。
はじめから答えが一つ決まっていることなら、「それはいい」「それは悪い」と言ってあげるのがいいです。
では、聴き方にいい悪いは決まっているでしょうか???
私はないと思います。
あるのは「どのように聴きたいか?」「どのような人間関係を自分は築きたいのか?」聴き手の意志(希望)です。
「傾聴で聴いてあげたらいいでしょうか?」
と訊かれたら、私はいつもこう答えます。
「あなたは傾聴で聴きたのですか?」
と。
するこ、とこんな答えが返ってきます。
「私はどうしたいも、何もないのです。 でも相手が傾聴したら喜ぶなら、 聞いてあげた方がいいのかなと思って・・・」
つぎにこう質問します。
「では、私がもし『傾聴してあげることはいいことです』といったら、その通りにできますか?」
するとこんな答えが返ってきます。
「出来るかどうかはわかりませんが、するように努力しないといけないと思います。」
続けます。
「それをすることで、あなたは幸せ(楽)になりそうですか?」
と。
すると、たいていの人はムズカシイ顔をして黙ってしまします。
・・・
すべきこと、したほうがいいことは世の中に山ほどありますね。
また、他人は自分がして欲しいことを「あなたはこうすべきだ」と主張することもよくあります。。
でも、どんなに「いいこと」でも、「すべきこと」でも、それを実行する人が我慢したり、
自分の大切な自分を切り売りしたりしないといけないことならば、
ちゃんとできるはずはありません。
すべきこと、いいことをしてもいいのだけれども、同時に
「それをする行為自体が、自分を幸せにるすることだろうか?」
という視点をもっていなければ、
いいことにも、すべきことにも本気で力は入らないのではないでしょうか?
喜んでもらえることは私たちの喜びです。
でも、
「相手が喜ぶからする」
だけでは自分がなさすぎます。
相手の喜怒哀楽に左右されるなら、それは依存です。
相手が喜べばいい聴き方、喜ばなければ悪い聴き方という価値観もあれば、
自分が喜べればいい聴き方、喜べなければ悪い聴き方という価値観もあります。
(それ以外も)
いい悪いは、人それぞれの価値観ですね。
いいか悪いかより、まず「自分が何を望んでいるか?」「自分が何をしたいのか?」
自分の願いを叶えるために、その行為が適切かどうかという視点で考えることをお勧めします。
「いいか悪いか?」よりも「自分はそれをしたいのか?」
で選びましょう。
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