成長を促すには脳をダマす

いつもありがとうございます。
ピアノを弾こうとすると、両手と足が同時にしか動かせない、岩松正史です。
・・・
先日開催した講座の参加者の中に
体の使い方の専門家の先生が
いらっしゃいました。

休憩時間、話の流れで
「前屈の仕方」の話になりまして。

先生曰く、立っていても座っていて
なぜ手が足のつま先の方に
なかなか近づかないのか?

それは、多くの人が
前屈しようとすると猫背に
なってしまうからなのだそうです。

前屈しようとすると多くお人は
体を丸めるようとします。

その様子を、左側の真横から見ると
(顔の正面が左向き)
猫背のようになり、腰は逆「くの字」型に
なっています。

でも、体の構造から考えてみれば、
前屈する際に使う間接は、股関節と腰。

腰は「逆、くの字」ではなく、
「くの字」に曲がらないと
上半身は足のつま先から余計離れてしまいます。

お腹を前に突き出すようなイメージで
腰を曲げた方がより手は足の指に
近づくというわけです。

(うまく伝わっているかちょっと微妙ですが(汗))

前屈することを考えたとたんに
脳が無意識に猫背の体制をとってしまうことで、
なかなかうまく前屈が出来なくなる。

その話を聞いたとき、思い込みが
体の反応として出てしまうのは
傾聴も同じだなと思ったのでした。

・・・

例えば、傾聴のスキルの「くり返し」があります。

くり返しを意識してしようとすると、
ぎこちなく、わざとらしく、不自然に
なってしまう人がよくいます。

これは、「くり返そう」としたときに、
「どの言葉をくり返せばいいか一生懸命聴きとろう」
と、脳が無意識に反応してしまうから起きる現象です。

実際のくり返しは、
「どの言葉をくり返そうか」
考えながらするものではありません。

じっくり「感じとろう」と
しながら聞いているうちに聴き手の心が
動いた(気になった)言葉をくり返すのです。

「どの単語がくり返すべき、正しい言葉なのか?」

探してしまうのは、先ほどの前屈同様、
脳のクセが自然とそうさせてしまうのです。

無意識の思考にとらわれている人に対して
正しい技法だけいくら伝えても
効果は期待できません。

思考のクセが取れていくような
伝え方の工夫が必要です。

私は時々、くり返しを伝えるとき、
脳の自動反応を防ぐこんな工夫をしています。

「工夫」といえば聞こえがいいですが、
簡単にいうと「脳をだます」のです。

例えば、受講者さんにこんな質問をします。

「クライエントが『私の人生は波瀾万丈な人生でした。』と言ったとしたら、どのワードが気になりますか?」

すると「波瀾万丈・・・」と、自然とおっしゃいます。

その時の言い方は決して不自然だったり、
わざとらしかったり、
ぎこちないものではありません。

自然と波瀾万丈と「くり返し」が
できているのです。

もし、この時私が、次のように
質問したら受講者さんは混乱します。

「クライエントが『私の人生は波瀾万丈な人生でした。』といったら、どのワードをくり返すべきでしょうか?」

「くり返しを、しなければいけない」
と思った瞬間に脳の自動反応が起きて
ムズカシク考え始めてしまいます。

これでは先程の前屈と同じです。

身体の機能としてはそれができる
能力を十分持っているのに無意識の誤解が働き
間違った思考回路と結びついてしいうまく出来ない。

そういうことはたくさんあります。

くり返しがムズカシイのではなくて、
くり返しのスキルをムズカシク
考えてしまっているだけという面もあるのです。

傾聴に限らず何かできるようになるために
必要なことは、大きく2つに分類できます。

1.知らなかった新しいスキルを正しく伝える
2.成長妨げる要因になる脳の癖、受け止め方を変えていく

2がうまく進めば学習の速度は速まります。

でも2を放置したまま学習をつづけていても、
いつまでたっても課題を克服できない
人も出てくるはずです。

人は言語化された言葉からイメージを作り
イメージからの印象で物事を理解します。

効果的でないイメージができてしまえば
その通りに行動します。

特に先生や講師業をする人は、
その分野の専門家であると同時に、
伝え方の専門家でもないといけませんね。

脳をうまくだまして思考のクセを
迂回させられる先生がいたとしたら、
本当のプロです。

私も他人ごとではありません(汗)。

日々研鑽であります。
(がんばろう!)

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