「まあまあ」は、かなりイイ

家族で気軽に食べに行けるお店を開拓しようと、

行ったことがなかったハンバーグ店に

子どもたちを連れて行った。

2000円もしないで肉かハンバーグが食べられるだけでなく、

料金に含まれるサラダバーには、

野菜やフルーツはもちろんのこと、

自分で作れるソフトクリームやカレーライス、

パスタ、ドリンクバーまで含まれている。

まるで天国のようだ。

なかなかお得でいいお店を見つけたと感心し

娘に「このお店どう?」と訊いてみた。

すると娘は答えた。

「まあまあ」。

その返事を聞いて私は思った。

「なんだか物足りない」。

別の日、

出張が多く最近ゆっくり話す機会がないことを反省し、

夜遅くまで起きていた娘に最近の様子を訊いてみた。

「最近どう?困っていることとかない?いい感じ?」

すると娘は答えた

「うーん。別にない。まあまあ」

その返事をきいて思った。

「なんだか物足りない」。

また別の日、

たまたまその日は早く仕事がおわり、

予定より早く帰宅をした。

娘は必ず毎日私に「今日何時に帰ってくる?」

と、訊いてくるのが習慣なので、

きっと早く帰れば喜ぶだろうと思った。

帰宅してたまにはとトランプをしながら娘にこう訊いた。

「どう?お父さんたまにはやく帰ってきてうれしい?」

娘は答えた。

「まあまあ」。

その返事をきいてたとき、

・・・

私はとても満たされた気分になった。

何回も何回も娘を気にかけて

訊いているうちにわかったことがあった。

娘にとっての「まあまあ」は、

本人の中では「かなり良い」、

もしくは「最高」という意味だということが。

以前の私は「まあまあ」と聞くたびに、

娘が満たされていないことを心配していた。

でも満たされていなかったのは、

娘ではなく私の自尊心の方だった。

お互いの価値観さえ共有できれば、

問題だと思っていたことは

もはや問題ではなくなる。

自分とは感覚が違うからこそ、

価値観が分からないからこそ、

人の話を聴こうとすることは大切だ。

そしてもう一つ。

相手を満たそうなどと

だいそれたことは考えないほうがいい。

なぜなら、

その時点で満たされていないのは実は自分なのだから。

そんな満たされていない自分を発見し、

ともすれうばよからぬ感情をもっていることを

認めることは果たしてできるだろうか?

他人の心の声以上に、

自分の心の声を聴くことのほうが

よほど難しかったりするのではないだろうか。

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