ものごとを理解するときに
「対比して見る」
という方法はとても効果的です。
たとえば、傾聴では
「気持ちを聴きましょう」
といいますが、
このときの「気持ち」自体、
どの様にも解釈できる。
あるいは、
実態としては認識似づらい、抽象的な概念です。
はじめて接するものや、
抽象的な概念を理解するには
どうしたらよいでしょうか?
一つの方法として、
ひたすら「気持ちとは何か?」について
説明するというやり方があります。
それで十分、理解できる時もあります。
しかし、
「気持ち」のような感覚的な概念は、
頭の理屈では理解したつもりでも、
感覚がわからないと、
なかなか腹には落ちません。
そして、
残念ながら「感覚」は
口ではうまく説明できません。
体感がすべてです。
このように、一つのことだけを
伝えよう(理解しよう)とするけれど、
うまくできない時は、
完ぺきではないですが、
それを補完する方法として
「何かと対比して理解する」
という方法がかなり使えます。
たとえば、
「気持ち」を理解するために、もうひとつ、
出来ればそれと相反する概念を
例に出してみてはいかがでしょうか。
傾聴で大切とされる
相手の「気持ち」を説明するとき、
私はよく相反するものとして
「事柄」というもう一つ例に出します。
どちらも抽象的な概念ですが、
「事柄」とはなにか?を一旦知ることで、
違いから「気持ち」への理解も深まります。
同様に「傾聴する」という言葉も
とても抽象的な概念です。
「傾聴」もそれとは違う聞き方である
「日常会話」と対比して説明することで、
理解がかなり深まります。
さらに、同様に、
傾聴で大切な「共感」も、
似た概念で混同しやすい
「同感」を区別してあげることで
理解が深まります。
こんな風に、
物事を理解したい(させたい)ときは、
何か別の対比する例をだすと
対比しないのに比べ、理解が深まるでしょう。
・・・
この「対比すると理解が深まる」という原理は、
誰かの話を聴いて、
ちゃんと相手お気持ちをわかってあげたい
時にも当てはまります。
相手の気持ちをわかってあげたいと思うと
「あなたの気持ちは何なの?」
と、つい相手の方に
意識が向きがちです。
でも、実は聴き上手な人ほど、
相手にばかり意識を向けていません。
むしろ、
相手と対話しながら
自分の気持ちがどう動き
どう感じているか?
自分の気持ちの動きを
感じとることに長けています。
自分の気持ちと相手の気持ちを対比することで、
相手の気持ちをより鮮明に感じ
理解できるようになるというわけです。
逆を言えば、
自分の気持ちがわからなければ、
相手の気持ちもわからないとも言えます。
このように
対話しながら自分自身の方の
気持ちのほうをよく観察し、
理解しようとする姿勢のことを、
心理学者のカール・ロジャーズは
「一致」
と言いました。
聴き手である自分の感情を
あきらかにすることにより(しながら)、
相手と同じ部分と違う部分を明らかにし、
「違いから相手をわかろうとする」
ことです。
ここが聴き上手の人と、
そうではない人の決定的な違いでしょう。
多くの人はおそらく、
「相手の気持ちがわかる=自分が相手と同じになること」
と思い込んでいます。
ここでお伝えしたことは、
その常識的な考えとはむしろ逆です。
「相手の気持ちがわかる=相手と自分の違いを明確に知ること」
です。
多くの人は、はじめはきっと混乱しますね・・・。
でも本当に相手を知るとは、お互いの
違いわかりあうという作業であります。
【この言葉を自分に言ってみよう!】
「自分の気持ちがわかれば、他人の気持ちがわかる」
うなずき、あいづち、くり返し、質問することが、
傾聴なのではなくて、
人(あるいは自分)と向き合うときに、
たまたま便利だから使っているただの手段です。
自分という存在と、相手という存在の
境界線が明確になることで、
精神的な自分だけの「安全地帯」が確定できます。
誰かを支えに行きたい時は、
自分に安心できているからこそ、
安心して本気で支えに行ける
というわけです。
(不安を持っている人に支えて欲しいと思いますか?)
何ごとも自己理解、自己受容が大切です。
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人との対話力も高くなります。
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