「自分の感情にとどまれない人は、人の感情にとどまることはできない。」
「自分の感情にとどまれる人は、人の感情にもとどまることができる。」
人間関係の基本原則から見れば、
当たり前のことです。
ところがときに人は、
原則から外れたことをしようとします。
自分の感情にとどまれないのに、
人の感情にとどまろうという無理をする。
過去と他人は変えられないのと同じように、
出来るはずがないことができないだけなのに
出来なかったときの自分の姿を見て、
自分を責めたり、あるいは人を責めたり。
・・・
誰かの悩みや問題に関わるということは、
起きている「事象」とそれにまつわる
「感情」の両方に関わらなければできません。
起きている事象の除去にばかり意識を奪われて
それを抱えながら生きざるを得ない人の
感情にまで意識が届かないと、
「冷めた支援」になります。
「事象がなくなれば、感情も解決するはずだ」
という考え方も、間違いではありません。
でも、問題となる事象を
そんなに素早く簡単に解決する素晴らしいノウハウ
あるのでしょうか?
それを持っている人はいいでしょう。
でも、そもそもなぜ悩まざるを得なくなったのか?
原因を考えてみるに、
本人なりに、一生懸命、事象の改善を目指したけれど、
うまくできなかったから悩んでいるではないでしょうか。
一発解決できるような、素晴らしいものを持っていないなら
やはり、問題解決に臨むときには、
相当、感情的なケアに力を注ぐのがいいでしょう。
そうすれば、事象にはまだ変化がなくても、
問題全体としては少し軽くなります。
でも、もし感情的なケアが大切と頭でわかっても、
はたして感情的なケアの方法を
本当に知っているでしょうか?
うなずき、あいづちをして見せて、
自分の発言を控え、受容的に見せることが
感情的にケアをすることではありません。
それは、感情的なケアをしていを観察していたら、
「表面上そのような態度をとっているように見えた」
という、観察した結果に過ぎないからです。
感情的なケアができている人は、
外から見て分からなくても、
相手がいまいる感情にとどまっています。
外見的な態度より、内面的な態度を
マネしないといけません。
そして、相手の感情にとどまれる人は、
普段から自分の感情にとどまることができている人でしょう。
何ごとも、自分に対して、それをするすべを
体感的に知っているからそこ、
他人に対しても同じよさを提供できるのです。
・・・
ときどき、
「話なんか聴いて何になるんですか?」
という人がいますが、その人に悪気はありません。
ただ、聴いてもらったよさを体験したことがないだけなのです。
自分の心を自分で聴いて、
癒された経験がないことを責めることはできません。
思考し問題解決することで十分に満足な
人生を送ってきたなら、感情の理解など不要でしょう。
でも、他人に対してそれと同じ方法を使って
問題を解決できるとは限りません。
(逆に言えば、感情に関わることだけが素晴らしいとも言い切れないわけです。)
一つだけハッキリしているのは、
「問題や悩み」というものは、
事象プラス、それにまつわる感情が
必ず両方セットになっているという「事実」です。
自称だけ除去したように見えても、
両方が解決されなければ、
本当に問題が解決されたとは言えません。
「見えないからない」のではなく、
「見えなくてもある」のです。
・・・
悩みの中にいると感情が冷えたり、
固まったり、痛くなったりします。
感情にとどまることで、
その感情は、やわらかくなり、痛さが減ってきます。
するとつぎぎに感情は、だんだんと自然と開いてきます。
(時間はものすごくかかったり、開かいないのではないか?と一瞬絶望したりもしますけれども)
感情が開くと、人は気づいたり、前に進みたく勝手になります。
もし、一発解決の方法を持っていないのであれば、
何かを提案するのは、そこくらいまで
感情にとどまってからでも遅くはありません。
時期尚早な提案は、
「私はあなたの心を無視しています」
という意思表示となり、心を閉じさせ
問題をさらに複雑にします。
もし誰かの支援をするなら、ノウハウや知識の蓄積と合わせて
自分の感情にとどまれるようになると、
相手の感情にもとどまれるようになり、
知識や技術も有効に届けることができるでしょう。
【この言葉を自分に言ってみよう!】
「人の問題に関わるということは、自分の問題に関わるということ。」
私もまったく、完ぺきにできないのですが、
自分の中の感情に少しとどまれるようになり、
問題解決という言葉の定義が変わり、
支援の仕方の幅が確実に広がりました。
人との関わり方で悩んでいるなら、
相手にどうするかと同時に、
自分にどうするか、考えてみるのがおすすめです。
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