根拠のない励ましに効果はない

「つぎ頑張ればいいんだよ。」

「よくやったよ。」

「いいことも、あったじゃない。」

失敗した人を励まそうと、そんな言葉をよく耳にする。

でもそういう多くの励ましは、たいてい「無効」。

なぜか?

脳はルールを変えるのがイヤだから。

脳はいつでも合理性を求める。

つじつまが合わないことを嫌う。

もし、失敗したあとに有効に励ましたいなら、

行動を起こす前にルールを

明確に示しておく必要がある。

ルールがないのに受け入れろと言われても、

脳は嫌がる。

もし、失敗につながる行動を起こす前に、

失敗してもいいということに、初めから示しておこう」

というルールがあれば、

あとからの励ましを、脳は受け付やすくなる。

・・・

これは私自身が認知行動的なアプローチを

試みるときにとてもよく使う手法。

例えは何でもよいのだけれど、

ひきこもりがちで、昼夜が逆転しているような

クライエントの就労支援をしていた時がある。

そのとき、朝決まった時間に起きられないと、

到底就職なんてできない。

だから、まず職探し以前に、

「朝決まった時間に起きる」

という課題を設定し、練習としてしたりした。

そのために、

「次の面談までの二週間、毎朝決まった時間にそろえる」

という宿題を出したとしよう。

(なぜ、そのような課題になる詳細は割愛)

そのとき、こちらが課題だけ設定して

「じゃあ二週間、出来るだけ頑張ってね!」

なんていってお別れしてしまったら、

カウンセリングにならない。

「次の面談までの二週間、毎朝決まった時間にそろえる」

必要性まで、十分にお互いに了解が取れたら、

つぎに、では、

「実際に明日らかそれを始めたら何が起きそうか?」

「スムーズにできそうなのか?」

「何かトラブルが起きそうにないか?」

丁寧に確認をする。

そして、

起きうるリスクを提示してい、伺いを立てたりする。

「たとえば、朝寝坊して起きられないということが起こりそうな気はしない?」

と。

すると、クライエントはほぼ

「はい、ありえます」

という。

そこで、リスクに対する事前のルールを決める。

「そうしたら、いちおう朝という決まったけれども、朝できなかった時はその日中であればOKというルールにしましょう」

というように。

一度失敗しても、やりなおせるというルールを作ることで、

クライエントは少し肩の力が抜ける。

これで終わりではない。

さらに続ける。

「もしかしたら、ド忘れしてその日中に、できないこともありうる気がしない?」

と尋ねる。

すると、クライエントはほぼ

「はい、ありえます」

と答える。

そこでまた、

次の起こり得るリスクへの対策も先に決めておく。

「2、3日やらなかったら、どんな気持ちになりそう?」

クライエント「やっちゃった。と思って、やる気がなくなります。」

というような返事がよく返ってくる。

私「でしょ!だから、先にこういうルールにしておこう。仮に2日、3日・・・一週間何かの理由でできなくても、復活OKというルールにしておくから、気にしないで胸を張って復活して。」

・・・

こんな風に先に、起こり得るリスクに対して

どうするかルールが先に決まっていれば、

クライエントが失敗しにくくなるかといえば、そんなことはない。

同じように失敗をする。

でも、失敗したあとの動きが変わることがよくある。

ルールが先あるからということで、

自分で復活の呪文を唱えて復活する人も出てくる。

でもルールが先に決まっていても、

そんなものは関係なしに、失敗した自分を責め始める人もいる。

でも、失敗を許すというルールを先に決めておけば、

「初めから、そういうルールだったよね」

といって、説明もしやすい。

「言われてみれば・・・」ということで、

納得もしやすくなる。

ところが、なにも失敗を許すというルールがないまま

ただ、あとになって励ましてみたところで、

合理的な理由がどこにもないから、脳は拒否する。

【この言葉を自分に言ってみよう!】

「ルールを先に決めよう」

「その時になったらまた考えよう」

・・・なんてやり方が一番マズい。

簡単でもいいから、リスクへのファーストアプローチだけは

決めておいた方がいい。

また、

落ち込んでいる人を励ますことも否定はしない。

でも、行動する前に失敗を許すルールが先になければ、

その励ましは、ほぼ効果を発揮しないだろう。

励ましたいなら、行動する前に、

失敗を許すルールをしっかり決めておくこと。

失敗を許すルールがない状態で、

失敗してしまった人に関わらなければいけないのなら、

励ますよりも、元気になれない、その気持ちを

十分に受け止めて、共感して支えるほうが、

効果が高いことが多い。

それが最高の対応かどうかはわからない。

でも、根拠のない励ましをするよりは、

よっぽどマシなことだけは間違いない。

・・・

あなたは、根拠のない励ましをしたことはありますか?

それと同じことをされたら、

自分なら元気になれそうか?

まず、考えてみましょう。

気晴らしたくても、出来ない時というのが人にはあります。

そんな人に出会ったら、どのように関わりましょうか?

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