「あなたは何のために生きていますか?」
そう訊かれて、即答できる人はどれくらいの数いるだろうか?
・・・
先日、出張から帰宅したら、
出版社さんから、2年半前に発売した著書の
増刷の案内が届いていた。
そもそも、本が出せるとも思わなかったし、
増刷できるほど売れるとも思っていなかたので、
ただただ感謝と喜びしかない。
上を見ればきりがないけれど、
自分としてはひとつ大きな
「軌跡が残せたな」
と思っている。
・・・
2、30代の頃、何を心配していたかというと、
いつでも、悪い結果が出るのが怖かった。
当時、営業やプログラマをしていたら、
悪い結果が来るとすぐに、誰かからしかられた。
別の言いかたをするなら、
「悪い軌跡が残るのが怖かった」。
うちに初めての子どもが、
生まれるとわかったときも、
喜びもより、どちらかというと怖かった。
結婚の結果が一つの軌跡として残ってしまう。
「あなたは失敗作だ」なんて、
子を捕まえて言っていしまう親もいるそうだ。
いま思えばそんなバカな話はないと思うが、
子が生まれた当初の気持ちは、それに近かった。
子は自分という人間の分身として、
子育てに失敗すれば、悪い軌跡が残ってしまう。
そんな気がしていた。
実際に子育てが始まってしまうと、
のちにその考えは大きな間違いだと気づく。
子供であれ、別の人格。
アンコントロールな存在。
親が何をしようがしまいが、
いい意味でも悪い意味でも、
変わらない物は変わらないし
変わりたければ勝手に変わる。
そもそも、自分の育て方の結果が子ではない
という自信がついたら、子育てへの恐怖が減った。
同時に、それまで持ち続けていた
「悪い軌跡を残したくない」
への興味が、
「よい軌跡を残したい」
に変わり始めた。
年齢も関係しているのかもしれない。
若いころは
「明るくなるべき未来」
ばかり気にしていた。、
現実と理想とのギャップにいつも苦しんでいた。
40歳を超えてくると、
人生の半分を超えた感がでてきた。
「もう、変に頑張ってもしょうがないんだな」
と、現実を受け止められるようになってきた。
明るくなるべき未来よりも
子を成人するまで育てられれば本望。
体も若いときとは違う反応を見せ始めた。
知人の中には、命をなくす人や、
健康を害する人も目の当たりに
するようになったことで、
明るくなるべき未来よりも、
「今日、何に満足するか?」
そして、
「もうここまで来れば、さほどは激変しない可能性がある残りの人生を、どう過ごしたいか?」
に興味が移りはじめた。
すると、
若いころは悪い軌跡が残るのを、怖がっていたのに、
今度は、何か一つでも未来に向けて
よい軌跡をいま残せないかと思うようになった。
・・・
不思議なものだ。
若いころ、明るい未来があるべきだと
思っていたころには、いまが不安になり、
歳を重ねて、もう先は長くはない居間に満たされ始めたら、
同時に、未来も明るく感じ始めるなんて。
こんな風にして人間というのは、
きっと正しい方向に考えているときほど、
実は間違った方向に進んでいる、
そんなことが多々あるのだと思う。
(そのことに気付くのはいつも後になってからだが)
・・・それはさておき。
私はある意味、現状にすでに満足している。
子も生まれてくれたし、本も発売できた。
その本を少なくとも
5000人もの人が読んでくれた。
この本をいい本だと言ってくれている
人がいるのも知っている。
もう自分が望む望まないにかかわらず、
私がこの世に生きていた軌跡は、
すでにある程度残し終わっている感がある。
上の娘には、私の人生を大きく変えてくれた
脳と心の使い方のメソッドは、
すでに伝え終わっている。
軌跡は残した。
それをどう使うかは本人次第でいい。
・・・
これから100年もたてば、
私という生の人間を知っている人は
この世に誰もいなくなる。
でも、私の本や講座に触れた人が
親になり、子が生まれ。
その子がまた親になり、また子が生まれ・・・。
それを繰り返していくうちに、
私のことは知らなくても、
私が生きていた軌跡を1ミリでも
(でも間違いなく)引き継いだ人が
知らないところで世の中に増えていく。
そう思うと嬉しくなる。
小さくてもよい軌跡が残れば、
私は100年後にも生き続けることができる。
お金もないし、時間もないが、
すでに、そこそこ自分の人生に
そこそこ、満足してしまっている。
ここから先の人生はオマケ。
そう思うと、若いころ感じていた
変な肩の力が自然と抜けてしまった。
【この言葉を自分に言ってみよう!】
「よき軌跡を残すために生きる」
自分を生かすのも自分。
おとしめるのも自分。
さて、このBLOGがあなたの人生に
どんな小さな(そして価値のある)
軌跡を残せているのか?
書けば書くほど楽しみです。
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