近づくのか?逃げるのか?

世の中には、やるべきでも、やってはいけないこともある。

ある日、事務所のある飯田橋は、

35度に近づこうという蒸し暑い日だった。

コンビニにお客さん用の茶菓子を

買いに買い出しに出かけた時のこと。

建物から道路に出ると、

事務所前の細い一方通行の道を

ゴミ収集車が「バック」していた。

そこにタイミング悪く、S川急便の軽トラックが

後ろから一方通行に入ってきた。

S川の軽トラックにしてみれば、

ゴミ収集車は一方通行の道を

バックして逆走してくるように見える。

危険を察知して、S川の車が

クラクションを「ピッ!」と鳴らした。

そのとき私は、ゴミ収集車の

運転席から50cmの目と鼻のさきにいた。

クラクションを鳴らされた、

ゴミ収集車の運転手が不満そうに

「『ビッ!』じゃねえでだろ!」

と半分独り言のように。

でも、半分S川の運転手の方に

向かって言ったのが聞こえた。

その「『ビッ!』じゃねえでだろ!」を聴いた瞬間、

口には出さないが、心の中でツッコみを入れた。

「当然『ビッ!』と鳴らすだろ!」

と。

どう見ても悪いのは、100%ゴミ収集車の方だった。

でももし、それを口に出してゴミ収集車の運転手に

言ったら、聴く耳を持ってもらえるだろうか?

ほぼ100%無理だろう。

ゴミ収集車の運転手もまた、

35度の灼熱の中、車の窓を開けて

汗だくになって働いているのがわかった。

何か焦ってもいるようにも見えた。

余裕がない様子だった。

彼には彼なりの、苛立ちたくなる

ワケがあるように見えた。

そんな状況でいくら正しいことを主張しても、

相手にそれを受け止める余裕がなければ

何を言っても通じない。

通じないだけならまだしも、

余計ひどいトラブルになりかねない。

わかりあうどころか、話せば話すほど、

すれ違いは大きくなる。

そんな時は、正しくても近づかないのが正解。

・・・

ときどき、コミュニケーションの仕方に関して、

このような質問をもらうことがある。

「どうやったら理不尽に怒り散らす上司が、傾聴を使ってこちらの話に耳を傾けてくれるようになるでしょうか?」

さぞ困っているだろう現状に同情したい。

でも、もし傾聴を使うことで、

理不尽な上司が話を聴いてくれる方法があるなら、

私が教えて欲しいと思う。

傾聴に限らず、このような

「AをすればBになりますか?」

的な、魔法の正解探しはよくみかける。

でも、考えてみて欲しい。

「火山」を例にしてみるとよくわかると思う。

「火山が大爆発している最中に、確実に安全に逃げる方法を教えてください。」

などと質問する人はいないことくらい

たやすく理解できるだろう。

先ほどの質問は、それと同じなのではないだろうか。

爆発している人に傾聴して、

果たして効果があるだろうか?

私はあるように思えない。

傾聴の専門家である私はこうする。

爆発している人がいたら・・・。

「近づかないようにする」

あるいは

「逃げる」

傾聴している場合ではない。

コミュニケーションの場での「爆発」であれば、

傾聴よりも、物理的または心理的に

距離をとるのが先だろう。

傾聴を知っていれば、なんでも

傾聴で解決できるというわけではない。

自分が安全だと思う方向に、とりあえず逃げよう。

傾聴が有効なのは、相手が寄りそうことを

意識的でも、無意識的でも受け入れる

準備が出来ているとき。

確かに傾聴はコミュニケーションをとるのにいい方法だけれど、

使いどころを間違えてはいけない。

相手がこちらを攻撃したり、

話ができる状況にない時に傾聴しようとすることは、

目の前で火山が爆発している、まさにその真っただ中で、

スマホで逃げ方を検索しているようなもの。

そういえば、いかにおかしなことかわかるだろう。

S川のドライバーさんは、

たぶん自分に向かって文句を言われたことに

気づいていたと思う。

相手が悪い。

でも、それ以上近づかず、ずっとその場で

距離をとって待っていましたのが偉かった。

・・・

困った時に、何かの方法に

頼りたくなる気持ちはよくわかる。

でも、逃げたほうがいい時に、

近づく方法を使ってはいけない。

選択を間違えば怪我をする。

傾聴は万能ではない。

傾聴だけでなく、すべての方法は万能ではない。

相手との関係をよくしたいと思うときほど、

実はいまは近づかず、距離をとっておいた方が

いいというときがある。

いまの自分に本当に必要なのは何か?

近づくことか?

逃げることか?

だいたい判断ミスをしてしまうときというのは、

自分の中にある「~すべき」という思考が

正しい判断の邪魔していることが多い。

「親だから~すべき」

「上司だから~すべき」

という責任感は買うが、時に、

すべきでも、してはいけないこともあると知っておこう。

【この言葉を自分に言ってみよう!】

「相手にどうすべきかより、自分が本当はどうしたいいかから考えてみよう」

必要な時に自分をちゃんと守れる人こそが、

本当の意味で、大切な人も守れる人です。

自分の必要を満たす方法を知っていれば、

他人の必要を本当の意味で満たす方法も

おのずと見えやすくなります。

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