人に腹が立った時には

誰かに腹が立つときがある。

でも、その理由さえわかれば、苛立ちは収まっていく。

・・・

私は急に「悪いこと」をしたくなるときがある。

ある日は、前の日夜まで仕事をよく頑張った。

その翌日、たまの予定がない。

気分転換もかねて何か「悪いこと」を

してやろうと思い立った。

そこで、めったに食べない

「コンビニ弁当を、昼食に食べてやろう」

と思った。

・・・何とも些細な悪いこと(苦笑)。

でも、アルバイト時代から数えると

11年間働いて食べつづけていたコンビニ弁当なのに、

退職してからは、ほぼ食べない。

いま思い出そうと試みたけれど、

もう、最後にコンビニ弁当を食べたのが

いつだったのかさえ、思い出せない。

「めったにやらないこと」

は、脳にいい刺激になり気分転換になるだろう。

早速、近くにコンビニに買いに行った。

・・・

店で弁当を選んでいると、

店内にネクタイをした男性が入って来て

アルバイト店員の女性に

「店長さんはいらっしゃいますか?」

と訪ねていた。

私は「人」に興味がある。

店舗指導のスーパーバイザー(SV)にしては、

言葉遣いが気を使いすぎていてよそよそしい。

いったい誰だろう?

他の業者の人かな?と思って見ていたら、

たばこ屋のルート営業さんだった。

(正解!)

・・・

知らない人もいると思うので、

たばこ屋の営業が何か簡単に説明すると、

たばこ屋の営業は、

たばこの取り扱いがある

店舗にときどきやって来て、

たばこの並べ方や品ぞろえなどをアドバイスする。

でも正直、たばこという物は

いつも新しいネタがあるわけではない。

向こうも仕事だから店に来るのだろうが、

たいしたアドバイスもせず帰ることも多い。

・・・

時刻は昼11時半過ぎ。

呼び出された女性店長と営業さんは、

レジに入ってタバコの棚の前に立った。

そして、営業はたばこの棚を見て指さしながら、

細かい話しを始めた。

「このたばこの売れ行きはどうですか?」

「こんなキャンペーンはじまります」

「この棚の位置はみにくいですよね」

正直、外から聞いているとどうでもいい

中身が薄すぎる話・・・。

・・・

様子を見ていると、

店長の様子がおかしい。

妙に時計を気にしている。

その様子を察して営業も、

「お忙しいのにすみません」

と気を使いはじめている。

店長が気にするも無理はない。

昼のピーク直前の大切な時間。

たいした話題もないのに、ありきたりな話に

付き合わされるのはまらないだろう。

だいたい、この時間に来るのもおかしいし、

断らない方もおかしい。

もしかしたら女性は、オーナー店長ではなく、

責任感の強い雇われ店長なのかもしれないと妄想した。

私なら間違いなく

「いま無理です」

と言って帰ってもらう。

・・・

それはともかく、

店長は明らかに迷惑そうな顔をしていた。

様子に気付いている営業も

口調ががどんどん早くなっていく。

もはや、売り場の指導ではない。

一方的に語りかける売り場の解説。

「多弁は詭弁」

人は慌てると、たくさん話し始める。

そしてたくさん話せば話すほど、

墓穴を大きく掘っていく。

典型的な例だった。

・・・

営業は35歳前後だろうか。

新人ではなく中堅。

私の中の悪魔が心の中で叫んだ。

「この歳になって、人の邪魔をするだけで、お金がもらえるなんてうらやましい」

「この歳になるまで、誰も彼に伝え方を教えてあげなかったのだろうか?」

30代の未熟さに腹が立った。

でも、つぎの瞬間・・・、

思考が自分の過去に飛んで、癒されていった。

・・・

「誰も教えてくれないよな・・・」

私の中の天使がつぶやいた。

私もコンビニの営業のとき、

どうやったら相手に話しが伝わるか

教えてもらった経験などなかった。

あったのは、新人の頃、

しばらく先輩と同行して店に行き、

先輩の様子を見て学ぶだけ。

なんとなく、先輩の様子を見て

マネをするところからスタートし、

そして、それがゴールだった。

相手に伝わろうが、伝わらなかろうが、

結果が良ければ誰も文句言わななかった。

そのことを思い出したら、

私の人生には何の関係もない

営業へのイラつきはおさまっていった。

・・・

なんで営業に腹を立てたのか、

理由はすぐわかった。

一つには、

講師業をはじめてから、

うまく伝えられなくて、

もう二度とお客さんが来てくれなくなった

苦い経験をたくさんしてきた。

「ちゃんと伝えられなかった過去の自分」

と重なる姿をもつ営業の姿に、

腹を立てていた。

過去の「できなかった頃の自分」

と似た姿をもつ彼を、見るのが苦しかった。

だから、そのストレスを

「腹を立てることで解消しようとしていた」。

・・・

もう一つ。

講師業として、生活できるくらいに

マシになったとはいえ、まだまだ上には上がいる。

世の中には私よりもっと伝え上手で、

もっと稼げている人が5万といる。

彼らのことが羨ましくて仕方がない。

未熟な自分が許せないでいるのだ。

・・・

要するに、

過去といまの自分に対してもっている

否定的な感情を、似た誰かにぶつけたいだけだった。

原因がとりあえず2つ見つわかったら、

営業への苛立ちは消えた。

なんだか心が軽くなった。

そして、

「しょせん人は、自分を見るように他人を見ているだけだな・・・」。

わかっているつもりでいて、

まだ完全には腹に落ち切っていない

いつもの言葉をつぶやいてみた。

すると、さらにまた少し心が軽くなった。

そして最後に、

腹を最後まで立て切らなかった自分を褒めた。

【この言葉を自分に言ってみよう!】

「誰かに腹が立ったなら、自分を慰めるといい」

他人を責めている自分をまた責めると、

責めのスパイラルにハマってしまう。

負のスパイラルは自分で断ち切ろう。

・・・

自分が自分に腹を立て切らなかったおかげで

コンビニから帰ってから食べた、

大好きなタルタルソース付きの

竜田揚げ弁当をとても

おいしく食べることができた。

感謝。

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