休日、どこに行きたいか?
子どもたち(娘、息子)に訊いたら
普段仲が良くない二人が
口をそろえて「トランポリン」と言った。
どうやら、その日のテレビ番組で、
トランポリン専用施設が
あるのを知ったらしい。
週末だし、もともと混む場所がキライな私は
質問しておきながら、
そういう場所に行くのを一瞬、躊躇した。
でも、考えてみると他に予定がない。
息子の習い事の日でもない。
「だめなら50キロの距離(往復100キロ)ドライブして帰ってくればいいや」
そう割り切って、指定された場所に行くことにした。
・・・
翌日行ってみると、予想通りかなり混んではいた。
でも施設がかなり広く、
予想以上に早く入場することができた。
トランポリン・・・。
娘(12歳)がまだ小さかった頃、
厚木市の公園にあったトランポリンで
遊んだのが最後だった気がする。
自宅にも一応、家庭用のトランポリンがあるが、
息子が過去に数回使っただけで、お蔵入り。
子ども専用なので、
当然私は使ったことがない。
子ども大人関係なく、安全のため
5mくらいのひとり一区画と決められている。
それが20区画くらいある。
子どもたちを横目で監視しながら
ひとりで飛んだ。
トランポリンを飛ぶこと自体に
何の意味があるかはわからない。
でもかなり高くまで
飛ぶことができるのは興味深い。
トランポリンの上で一生懸命高く跳ねた。
ときどき、子どもより高い位置まで飛びあがった。
子どもを見下ろするくらい高くまで・・・。
とても高くまで飛び跳ねてたとき、
体がふわっと軽くなるような感じがした。
その感覚を存分に味わいながら、こう思った。
「まるで鳥のようだ」
・・・
実際に鳥がどんな気分なのかは、
鳥に訊いたことがないので分からない。
でも、
何もしないときよりは鳥に
「近づいた」のだけは間違いないと確信した。
まだまだ跳びながら、もう一つ思った。
「空を飛んでみる体験は、傾聴そのものだ!」
と。
その理由は2つあった。
傾聴に似ている、その理由・・・。
一つは、
うなずきあいづちなどで相手と
ペースを合わせることで、
関わりやすいタイミングを作る「ペーシング」。
(ペースを合わせるといういみ)
・・・
気持ちをわかるとは、
「あなたが今、『悲しい』と言ったので、あなたが悲しいということがわかりました」
という、冷めた理解のことではない。
それは、悲しいといった「事実」を
単に頭で理解したという浅いレベルの話。
本当に気持ちがわかるとは、
相手が感じているのと同じ「感覚」を
こちらも感じている状態。
聴き手は、自身の感情を動かすのを拒んだ
冷静な位置で、話を聴くのではなく、
うなずき、あいづち、くり返しなどの行為も使って
自身の感情を相手の感情に
「あわせようとしていく」。
完全に合わなくても、
「あわせようとしていく」ことで、
「感情的」に自分を相手に「近づけよう」とする。
この「ようとする」が肝。
そして「ようとする」ということは、
完全に同じにならなくても、
相手基準の似た感情を自分の中に作っていこうと
「疑似体験を試みる」
ということ。
トランポリンの力を借りてでも、
実際に高い位置まで飛びあがってみると
鳥の気分を疑似体験できる。
「鳥そのもの」になったわけではないけれど、
鳥の気持ちを理解するのに少し近づく。
傾聴のスキルたちは、まさに
このトランポリンの役割に似ている。
もう一つの理由は、
クライエントは
「傾聴されるという疑似体験」
を通して、
受容的な態度で接せられる喜び、
安心感を意識&無意識に感じる。
すると、
その疑似体験をもとに、
今度は自分でそれと同じことを
マネできるようになっていく。
傾聴の役割は、傾聴自体が
回復や解決させることではない。
クライエントによい疑似体験を
提供することが役割。
そして、
クライエントによい傾聴の
疑似体験を提供するには
カウンセラー自身が、
自分の心に対して上手に
傾聴できる人でなければ、
クライエントに同じものを
提供できるはずはないのは当たり前。
だから、カウンセラーに
求められる基本能力は
クライエントにどんな変化を与えられるか以前に、
自分の心をどの程度上手に傾聴できるか?
が問われる。
そこを避けて自分の外ばかり
気にしているカウンセラーは
ちゃんとした疑似体験が提供できない。
その程度の浅い支援しかできないということになる。
【この言葉を自分に言ってみよう!】
「自分が体験をし、相手によき疑似体験を提供しよう。」
「私が話を聴いてあげたら、相手が元気になってよかった・・・」
そんな直接的な因果関係が
あると思うのは、錯覚。
勘違いでしかない。
できるのは、疑似体験の提供まで。
そこに喜びを感じられる人には、
傾聴は向いている。
<お知らせ>
自分の心を傾聴し、
他の人によき疑似体験を提供する
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