来談者中心療法(傾聴)のC.ロジャーズは
人間性心理学の第一人者ですが、
ロジャーズをたどっていくとどうしても、
A.マズローに行きつきます。
人間性心理学はマズローから始まった
といっても過言ではないでしょうが、
実はマズローはロジャーズより6歳若いんですね。
それは兎も角、マズローといえば
欲求の5段階説が有名です。
よくピラミッド型にあらわされますが、
どうもみなさん
「上の方が素晴らしくて、下の方はそうでもない」
というような解釈をされている方が多いようです。
そこで今回は、この5段階を
どう理解すればいいのかという一つの視点を
ご紹介します。
欲求の5段階説(6段階)とは?
①生理的欲求
生きるのに必要な最低限のものを満たしたい欲求
・空気、飲食、睡眠、性、排せつなど
②安全欲求
自分のいる枠を持っていたいよきゅう
・家、法律、保険、制度
③所属と愛ぼ欲求
どこか(誰か)に属したいという欲求
・家族、会社、サークル、グループ、恋人、
④承認欲求
認められたいという欲求
・他人から認められない
・自分で自分を認めたい
・達成、成功、習得、熟練、知識、
評判、地位、名誉、所得、特別扱い
⑤自己実現欲求
本来自分があるべき姿になっている
・夢の実現、自分らしい自分
⑥自己超越欲求
自分の意思を超え、その世界に没頭している
・至高、フロー状態
5段階まで当初提唱していたマズローは、
晩年自己超越欲求を追加したというのは有名な話です。
何が上で何が下か?
また、
①承認欲求と⑤自己実現欲求の間には線があり
①~④をそれがないと不満な「欠乏欲求」、
⑤~⑥をそれがあると満足な「成長欲求」
に分けられています。
F.ハーズバーグの動機付け衛星理論に似ていますね。
「欠乏」なんて言われるとなんだか、
悪いような気がしませんか?
なんだか、成長欲求のほうが
素晴らしいような錯覚に陥そうです。
でも実際にはそうではありません。
脳の優先順位で考える
欠乏要因を冷静に考えてみる分かります。
欠乏要因の中でもより低いものが
満たされないと人は次の欲求を
持つことができないという意味と
考えてみてはどうでしょうか?
たとえば・・・
・トイレに行きたくて仕方ない時は(①生理的欲求)、家があるかないか(②安全)を気にすることができない
・オオカミに襲われそうになっているときは(②安全)、親から愛されているかどうか気にすることはできない(③所属と愛)
・無人島に一人ぼっちでいるときは(③所属と愛)、業績ををほめて欲しいとは思えない
・自己肯定感が低く誰からも認めてもらえていない(④承認)と、自分のあるべき姿を追い求める(⑤自己実現)ことは困難
・自分の中でこれでいいと思えているものがないと(⑤自己実現)、我を忘れて没頭し何かに取り組むような至高体験には至らない(⑥自己超越)
いかがでしょうか?
生理的欲求が低次元なのではなくて、
手前の欲求が満たされないと、基本的に
次の欲求を持つことができないと
理解するとよくわかるでしょう。
脳は命に関係が深いものほど優先しますから、
生きていくうえで最も大切な優先順位は、
生理的欲求が一番上ということもできます。
でも、大脳が発達した人間的に
よりよく生きるという視点で見ると、
自己超越が一番上に来るといういえます。
どの視点で見るかによって、優劣は変わりますね。
下の段階から見直してみる
上の段階に行けないと思っている人は、
下の段階の中に何か満たされていないものが
ないか確認してみましょう。
思い当たることが見つかるかもしれません。
解決策は、
①満たされていないものに気づき満たしていく
②満たされているものを受け入れて感謝する
ですね。
まとめ
要するに、土台がしっかりしていないと、
上に立派な家は立たないということです。
下が低レベルで、上が高レベルという意味を
おわかりいただけたでしょうか。
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