普段あまり行かない、都内のある駅の改札の目の前に
チケット販売所があった。
新幹線のチケットやコンサートのチケットを
買い取って販売しているお店。
カウンターに女性が座っているけれど、そこは
宝くじ売り場のようにガラス張りになっていて
外から手が届かないようになっている。
店頭には、
「新幹線チケットあります!」
「〇〇のコンサートのチケットあります!」
「巨人戦のチケットあります!」
とにぎやかに貼り紙が貼られているけれど、
ガラスには手書きの紙が貼られ、こう書いてあった。
「ガラスあります!」
一瞬、チケット屋がガラスでも
売り始めたのかと思ったら、違う模様。
なぜなら、透明なガラスのフチには、
カラーテープも縁どられている。
どうやら、店員の目の前にある
ガラスそのものを告知したいらしい。
察するに、店員との間にあるガラス板に気づかずに、
頭か顔をぶつけてしまう客がいるのだろう。
確かに、ガラス面はすごくクリアに透き通っていて、
ガラスがないように見えなくもない。
でもその注意を促す
「ガラスあります」を見た時、
少し残念な気持ちになった。
なぜなら、その貼り紙はほとんど効果が期待できないから。
・・・
人間の脳の99%以上は無意識が支配している。
意識は1%以下しかない。
文字情報は「意識」下で認識されるもの。
だから、いくら文字で注意を促しても、
無意識に動作してしまう人間の脳にはぼぼ届かない。
効果はかなり限定的。
せっかくフチに張られたカラーテープも、
ガラス面ではなく視界から外れたフチ。
だから、こちらも効果は限定的。
けが人が出る前にお互いの視界を
遮らない程度に見える位置に、
きれいなカラーの線でも入れたほうがいいと心の中で呟いて
その場を後にした。
・・・
無意識と意識の関係は、
話を聴く時にももろに影響する。
言葉そのものを聴きとろうとか
覚えようとするのは1%の狭い意識下の世界の話。
でもその裏には99%無意識の世界がある。
その無意識の世界にこそ「感情」がある。
99%の無意識にある感情を無視して、
表面的な1%の中から言葉じりだけ聴きとっても、
大していい聴き方にはならないと容易に想像できる。
ではどう聞けばいいのでしょう?
感覚は心の奥深くの無意識とつながっている。
考えながら聴くのはいったんやめて、
聴きながら感じている自分の気持ちに
正直に向き合うことから始めてみてはいかがでしょうか?
傾聴を提唱した米国の心理療法家C.ロジャーズは
話し手の心の奥深くに触れることを
「一致」と呼んだ。
そして、相手の心の深くに触れられるにとは、
自分の心の深くに触れられる人でなければ
到底できないことは明白。
考えるな・・・とは言わない。
でもせめて、感じてから
考え始めてみてはどうだろう?
99%の無意識と向き合ってから、
たった1%意識のことを考えても、
手遅れであるはずはないのですから。
「初めから考えながら聴く」
これがうまくない聴き方のお手本というわけです。
あなたは、最初から最後まで
考えてばかりのきき方になっていませんか?
無意識で聴くとは、自分の感情の流れを
見つめながら聴くことです。
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感じながら聴く練習
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