ただ、相手の言葉をくり返すだけでは、いい聴き方にはなりません。
・・・
「オウム返し、しましょう」
コミュニケーションスキルの定着です。
オウム返しという手法はどこから来たかというと、
ロジャーズの来談者中心療法の中に出てくる
「感情の反射」からです。
ロジャーズの著書の中に、このような記述があります。
「うまくいったカウンセリングを分析すると、全体の8割が感情の反射だった」
と。
でも、ロジャーズが言ったのは、
「感情の反射」
です。
ロジャーズの文献の日本語訳の中にも
感情の反射とそのまま訳されている
モノが多数あります。
しかし、感情の反射という表現は一般的でなく、
専門家ではない人に伝えるにあたり、
わかりにくいと、誰かが思ったのでしょう。
そこで、感情の反射は
「くり返し」
「オウム返し」
とも表現されるようになりました。
狙い通り、その方が普通の人に
はわかりやすくなったね。
半面、今度は字面に引っ張られて、
言わんとする意味がちゃんと伝わらなくなりました。
「とりあえず、くり返してればいいんでしょう」
となってしまったのです。
感情の反射の目的をロジャーズの著書から
引用して表現するならば、
「クライアントの態度と感情に対する理解を、伝えようとするもの」
ということになります。
ところが、
・オウム返し
→何でもかんでもそのまま繰り返す。
・くり返し
→くり返すことが「目的」のようになってしまう
という弊害が起こりました。
そこで、この誤解を解くべく、
心ある心理学者の先生方が少し前から
よく使うようになった別の表現があります。
「伝え返し」
です。
伝え返しは
「カウンセラーが受け止めた感情や感覚(フェルトセンス)を、クライエントにそのような感覚で近いかどうか確認をとる」
ことで、
本来の感情の反射と意味が近くなります。
でも、その分、素人にはまた
よくわからなくなってしまいました。
私もしばらく、
伝え返しという表現を多用してきました。
でも、それはそれで、
少し複雑になるのは確かです。
そうこうしているうちに、最近
もう少ししっくりくる言葉を見つけました。
「お伺い」
を立てる、です。
・・・
「いま・・・あなたの話を聴いていたら・・・あなたにとっては・・・こうなのではないかと感じたのですが・・・いかがでしょうか?」
「いま・・・あなたは・・・頑張ってみるとおっしゃいました・・・、でも、今まで話をうかがってきた中で・・・あなたはもうすでに精いっぱいを超えるほど頑張ってきたように、私は感じているのです・・・。そのあなたが・・・また更に頑張るというのは・・・どうも、あまりにもしんどい・・・そんな気もするのですが・・・、ご自身としては・・・いかがでしょうか?」
「あなたが・・・そのようなことでお困りなら・・・・、ふと思いついたのは、あなたが安心できるために・・・・●●という方法があるのではないか・・・。・・・そう思ったのです。そのこのような方法をやってみましょうと、もし言われたら・・・どう思われますか?」
相手が使った言葉そのものをくり返すというよりは、
会話の中から感じた相手の感情を、
それが近いかどうか?
私の感じ方がどれくらいしっくりくるか
「お伺い」を立ててみる。
方策もただ一方的に「提案するのではなくて、
素材としてどう思うか「お伺い」を立てる。
「●●なんですね」と決めつけるのではなく、
あなたにとっては、私の受け止めた感覚が
しっくりくるかどうか「お伺い」を立てる。
そうすることで、
押し付け、決めつけ、誘導、
突拍子もない提案んではなくなります。
もう一度言います。
とにかく、こちらの感じたことを、
クライエントがどのように
「受けとめられそうか?」
だけでなく
「受けとめられなさそうか?」
を確認し、共有巣ながら進めます。
そうすれば、理解を深めながら、
道を誤らず、なんとなく良い返事を強要することもなく、
カウンセリングは二人の時間の中で進むでしょう。
くり返しでもなく、提案でもなく、
「お伺い」。
上手に相談に乗りたい方は、
ぜひ、お試しください。
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