公園で見た心の葛藤とエクスポージャー(暴露法)

まずは写真をご覧ください。

ある講演にある木の写真です。

よく見ると、この木には無数の

「セミの抜け殻」がついているのがわかります。

写真に写っている部分だけでも何十。

木全体で、何百ものセミの抜け殻がついています。

ちょっとキモチ悪いですね(汗)

気についているのと同様に、

木の周辺の地面にもたくさんの

セミの抜け殻が落ちていました。

4才の息子と一緒に講演に行ったときに

発見したのですが、

息子が、これを怖がりまして。

虫がまだちょっと怖いようです。

そしてすぐに、

「抱っこして!」

と騒ぎはじめました。

なんとも子供らしくて愛らしいといえば

それまでですが、

体重が17キロあるので

そろそろ抱っこも限界であります。

・・・ところが、

しばらく抱っこをしたまま歩いていたら、

今度は急に「降ろせ」と言いはじめまして。

何かと思って降ろしたら、

地面に落ちている木の「枝」を

一生懸命拾い集めはじめました。

(息子は結構枝マニアです(笑))

さきほどまでの怯えは

どこへいったのでしょうか???

・・・

アメリカの心理学者クルト・レヴィンは

心の中の葛藤を3つに分類しました。

1.接近-接近の葛藤
 →あれもやりたい、これもやりたい

2.回避-回避の葛藤
 →あれもやりたくない、これもやりたくない

3.接近-回避の葛藤
 →あれを手に入れるためには、この困難を乗り越えないといけない

息子のセミの抜け殻と枝の関係はこのなかの、

「接近-回避の葛藤」に、

枝の魅力が勝ったということになります(笑)

もしそのときに、

セミの抜け殻への恐怖の方が強いのに、

無理やり「頑張れ」といって

嫌がる息子を地面に下ろしたなら

それは、

行動療法の暴露(エクスポージャー)

のようなことをした感じになります。

エクスポージャーは、

PTSDの恐怖体験の軽減などに使われる方法です。

でも、

無理やりやらせては心理療法にはなりません。

ショック療法になってしまいます。

エクスポージャーのする時には十分に準備が必要です。

1.お互いに信頼関係が十分にあること

2.聴き介入ができる状況にあること

3.そのことをお互いに了解できていること

などが求められます。

その上ではじめて、

恐怖体験の場に身を置くことができるようになるのです。

つまり

イヤなことに立ち向かうためには

2つの要素のどちらかがあればよいことになります。

ひとつは、

・イヤなこと以上にやりたいこと(欲しいモノ)がある。

もう一つは、

・イヤでもやらなければいけない必要性を本人が感じている時に、安心して恐怖体験に身を置いてもいいと思える、安心できる支援者がいる。

この2つのどちらかの条件が整えば、

心のエネルギーが高まり、

困難に向かっていくことが出来るようになります。

さて、

いかがでしょうか?

部下、子供、家族、後輩・・・などなど。

相手に対して心のエネルギーが

高まるような対応ができていますか?

「うまくいけば、うれしくなるからまずはチャレンジ」

と言いながら、

無理やりやらせて傷つけていないでしょうか?

自分が同じ方法で過去に

成功した体験があったとしても、

相手がおない上にできるかどうかは分かりません。

相手の感じ方への配慮が必要ですね。

ちなみに息子は、

十分枝を拾い終わった直後にまた、

「抱っこして!」

が、はじまりました。

つねに魅力を持続しづけることは、

なかなかできませんね(笑)。

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