仕事に向う電車の中で、
2歳くらいの女の子が
座ったお母さんに抱っこされて
ずっと泣いていた。
察するに、子供にありがちな
眠たいときに泣いている、
そんな感じだった。
「子供のことだから」
と、思いながらも、
ちょっと考え事をしたかったので
泣き声で思考が途切れてしまい、
なかなか集中できない。
雑念を払おうと一瞬、
首を左右にブルブルっと小さく振ってみたが、
やはり鳴き声に勝てない。
考え事ができないことに
少しイライラしてきた。
そんな自分を見つめながら分析した。
「人は、やりたいことがあるときに、思うようにできないと、相手に悪気がなくても『邪魔された』と感じるんだな。」
と。
考えてみると、たとえば
混雑して駅のホームを歩いていても、
急いでいる人は自分が進みたい道しか見えていない。
そこを人が横切ろうものなら、
やはり邪魔と感じるだろう。
そうか・・・
「不満」の多くは相手が悪気があってしていることよりも
こちらの期待に沿わない時だけに起きている
ことがとても多いのだと気が付いた。
分析できたら少し落ち着いた。
「では、いま考え事ができずにいる私は、いったい何を期待したら穏やかな気持ちに戻れるだろうか?」
課題を「考え事をする」から変えてみようとした。
ふと目をあげると、
泣いている子供をしっかり抱えながらも、
疲れているお母さんの姿が目にとまった。
「このお母さんの立場になって考えてみたらどうだろうか?」
そこで、
目をつむって女の子の鳴き声を聞きながら
10歳になったわが娘が2歳のとき
電車で泣かれてしまったときのことを思い出し、
まるでわがことのように想像して聞いてみた。
すると、
鳴き声が先ほどとうって変わって心地よく感じてきた。
期待することを「考えごと」から
「自分に照らし合わせてみる」
に変えたら、
自分の感情も変わるのを体験した。
わが子が2歳の頃の大変さが蘇り、
電車内で若干冷たい視線を受けながらも、
なすすべなく抱きかかえるしかない、
お母さんの心情に少し近づけた気がした。
人の辛さも、わがことのように感じられれば
余計ないらだちや怒りは減ると実感した。
【この言葉を自分に言ってみよう!】
「イラだちは、相手の問題より、自分の思い通りにならないことへの不満。」
どんなにきれいごとを言ってみても、
しょせん人は、自分の思い通りにすべてを
進めたいだけなの存在なんでしょうね。
それがいいことかどうかよりも、
その「心の事実」を認められるかどうかで
人としての器の大きさが決まるような気がしました。
・・・
そしてもう一つ。
女の子の泣き声を聞きながら、
わが子が2歳だったころを思い出したら
確かに自分の心が穏やかになるのを
感じることができました。
でも、
一つ違和感がありました。
女の子の泣き方は、わが娘が小さかった頃の
泣き方とは全然違ったのです。
「ああいう泣き方はうちの娘はしなかったなぁ」
と、思いながら聞いていると、
確かにイラだちは減って穏やかに離れても、
相手の心情により添えきれない
自分がいたのも事実でした。
・・・
自分の体験と照らし合わせて
相手を理解するという方法も悪くはありません。
でも、そういう
「同感できる、できない」
の理解法には限界があります。
そして、先ほどの私のように、
同感的に理解して安心するのは、
「自分だけ」。
で、相手は全くわかてもらえた感覚にはなりませんね。
「同感(できる、できない)で聴くと、自己満足になりやすい。」
本当に相手のことをわかりたいなら、
実際に相手と対話して、
自分の経験とは違う、
その人独自の体験を共感して理解するしかないのです。
ところで、
これをお読みいただいているあなたは、
「同感」と「共感」の違いを
よくご存じでしょうか?
<お知らせ>
自分に体感がないことを、
他の人に体験させてあげることはできません。
自分とは違う経験や価値観を持つ
だれかを共感的に理解してあげたいなら、
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