言いたくなる気持ちの押さえ方

電車に乗ったら、ちょうど目の前に

60代くらいの女性3人組が座って話をしていた。

途中の駅で、ベビーカーを押した

若いお母さんが乗ってきた。

1歳くらいの子どもが乗っている。

ベビーカーが乗ってきたとたん、

先ほどまで談笑してた3人が黙り込んで、

3人ともじっとベビーカーの方を見つめていた。

3人とも何か言いたそうに見えた。

赤ちゃんを見て、

「かわいい」と言いたいのだろうか?

それにしては、視線が少し厳しく見えた。

しばらくして、3人の中の一人が、

ベビーカーに視線を向けたまま、

少し斜に構えて、横にいたもう一人に

小声で声をかけた。

「あれ、気づかないのかしらね・・・」

ベビーカーに目をやると、

ベビーカーの中の赤ちゃんが、

横に立っている、関係ないおじさんの

ズボンをつかんで引っ張っていた。

どうやら、3人は赤ちゃんの挙動が

気になっていたらしい。

3人が赤ちゃんを見ていたのは、

可愛さに引き付けられた眼差しより、

赤ちゃんがいたずらをしそうなことに対する心配と、

それに気づかない母親に対する

「何か」の思いが表れていたようだ。

3人の視線は、気づけずにいる母親を

受容するあたたかい視線というよりは、

「何で気付かないの?」

という、責める視線が含まれているように見えた。

・・・

ここからは、仮定の話が含まれる。

3人いれば、おそらく中には

子供がいる人もいるだろう。

仮に3人とも、子供がいたとして、

自分たちは子育てに完ぺきに成功したと

思えているだろうか?

もちろん、満足している人もいるだろうし、

でも満足の中にも、過去に子育ての失敗を

経験している人も多いはず。

子育てで苦労し、うまくできなかった

思いを抱えている人もいるだろう。

父親でも、母親でもそういうものだと思う。

でも、人間は不思議なもので、

自分は失敗した経験を抱えながら

他人の失敗を指摘したり、

アドバイスを送りたくなることがある。

「自分は出来ていないのに、アドバイスをしたくなる」

ときがないだろうか?

「私と同じ失敗をして欲しくないから言うけれど・・・」

と言われたこともあるが、

個人的には、願わくば、

失敗した人の経験談よりも、

成功して人からのアドバイスの方が

欲しかったりする。

・・・

例えば、

ある40代の引きこもりの子を持つお母さんは、

若いお母さん向けに子育てアドバイザーをしている。

子育て失敗したと自覚がある人からのアドバイス。

人によっては、そこに違和感を感じるだろう。

人間には心の穴埋めたい心理がある。

過去に失敗をしたと思う人は、

過去の自分に似た人を見つけると、

ついアドバイスをしたくなる。

それは、

自分と同じ失敗をして欲しくないといいつつ、

実は、他人の人生を使って、

自分の人生をやりなおそうと

しているのではないだろうか。

過去に失敗した

(そして、もしかしたら今も失敗し続けている)

自分を許せずにいるから、

アドバイスという名目で、

自分を癒すために、言いたくなっている

という動機はないだろうか。

もちろん、

自分の子育てが孤独だったから、

これから子育てをするお母さんたちが

孤独にならないようにという

役割も果たしているかもしれない。

失敗する自分を許せていれば、

失敗しそうな誰かに出会ったときも

自分の経験を語ろうとは

さほど思わなかったりするものだ。

自分の心の中に、

穴埋めしたい何かがあるからこそ

他人のことを言いたくなる。

それが、いけないというのではない。

ただ自分がそうしたくなる心の動機を

ちゃんと理解しながら、

やっていた方が、余計な心配や不安は減る。

・・・

言いたくなるということは、

言いたい気持ちになるということ。

気持ちになるということは、

心が動くということ。

そして、

心が動くのには必ず自分の中にワケがある。

相手の行動が正しくないから

言いたくなるのではなく、

相手の行動が正しくないことについて

「思うところがあるから」

言いたくなる。

(相手が正しくなくても、言いたくないという心の選択肢もある)

他人にそのような感情を持ちたくなる、

自分の中の心のわけは何か?

自分の心のワケを自分の中に見つけられると、

客観的に自分を見れるようになった分だけ、

相手に対する心配や不満も減る。

・・・

「話を聴かないといけないと思うのに、言いたくなってしまのは、どうやって押さえればいいでしょうか?」

という質問をよくもらう。

その人は、言いたい気持ちは

押さえるべきものだと勘違いをしている。

押さえようとすればするほど、

余計に言いたくなる。

では、言いたくなった気持ちはどうすればおさまるか?

言いたくならざるを得ない、

自分の心のワケに気付くこと。

そして、

その気持ちを否定せず、

「だから言いたいよね・・・」

と受容する。

これができれば、

ゼロとは言わないが、

言いたい気持ちは押さえられなくても、

「言いたくなくなる」

・・・

世の中には有効なアドバイスもある。

でもそうでないアドバイスもある。

自分の心の穴を埋めるだけの

頼んでもいないのにされるアドバイスほど

厄介なものはない。

そういうアドバイス=指摘すること。

指摘=責めること、だったりする。

過去でも今でも、自分を責めていると

他人にアドバイスしたくなる。

アドバイスをしたくなったときは、

自分を責めている自分が

いるかもしれないと疑ってみよう。

そして、

言いたくなっている心のわけを見つけたら、

「治そう」「押さえよう」とせず、

言いたくなる自分を受容して許そう。

自分を受け止めやすくなれば、

他人のことも受け止めやすくなる。

【この言葉を自分に言ってみよう!】

「指摘より受容」

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