正しさと、都合の悪さには関係がない。
そんなことを、ときどき再確認させてくれるモノがある。
もう数年も前のことなのに、
強烈にインパクトが残っている。
そして、今でもとても好きな広告があります。
2013年の「新聞広告クリエーティブコンテスト」で
最優秀賞を獲った作品です。
紹介しているサイトがあるので、
まずは見てみてください。
▼「めでたし、めでたし?」
http://heaaart.com/post/113533
(参考:@heaaart)
桃太郎に出てくる鬼ヶ島の鬼たちにも
家族がいたとすると、
鬼の子にとっては、そういうことになるよな・・・
と、思わずうなってしまった作品です。
・世の中には逆の立場の人が必ずいる
・自分の正義が他人にとっても正義とは限らない
・自分だけの価値観を押し付けていないか?
・表面的な現象だけで分析して、分かったつもりになっていないか?
そんなことを考えさせられます。
人の心はいつも、一つの明快な答えを欲します。
そして願わくば、その明快な答えは、
自分にとって都合がいい答えのほうが
いいとも欲します。
都合の悪い答えからは目をそらし、
ときに、
「なんで私に都合が悪いことをするんだ!」
と、他人を責めたりします。
・・・
この鬼の広告を思い出すと、
同時に思い出される童話があります。
▼みつばちマーヤ(ポプラ社)
http://amzn.to/2vJt9br
12歳になった娘が小さかったとき、
大好きで読んでいた絵本です。
いまは6歳の息子のお気に入りです。
この本の中に、こんな場面があります。
マーヤは、ハエのハンスと立ち話をしていました。
すると、そこに突然、トンボのシュヌックが飛んできて、
いきなり、ハンスを頭から食べてしまったのです。
マーヤは「なんてことをするの!」と怒りましたが、
申し訳なさそうに、驚かせてしまったことを謝りながら
自分もハエを食べないと死んでしまうことを
マーヤに伝えていたハンスに向かって、
今度は、池の中からカエルが出てきて
長い舌でハンスを食べようとしました。
ハンスは間一髪、カエルの舌をかわして
飛んで逃げていきました。
・・・
この話もさきほどの鬼の子の話に似ていますね。
「それは、食物連鎖だ」
と理屈を理解すれば、理解できる気もしますが、
食べる側の立場、食べられる方の立場に
いい悪いはありません。
では、あるものは何か?
それは
「自分にとって、都合がいいこと」
「自分にとって、都合が悪いこと」
この2つだけ。
個人的には、
「世の中に正しさはない。あるのは自分にとっての正しさだけ」
これが、私が持っている今のところの結論です。
財宝を奪われた人と、
それがけしからんと思う人にとっては、
鬼退治は「いいこと」。
でも、親を殺された鬼の子には
鬼退治は虐待と同じ意味なのかもしれません。
・・・
このことを日常の人間関係に
当てはめて考えてみると、
「他人の立場を受け入れられる人」
がコミュニケーション上手なのではなくて、
「他人と自分との間には、立場の違いがある。その事実を受け入れられる人」
がコミュニケーション上手だとわかります。
パッと見、両者は似ているようですが、
よくよく読んでみると、
きっと違いがわかると思いますので、
分かりにくかった方は、ぜひ何度か
読み返してみてください。
【この言葉を自分に言ってみよう!】
「立場の違いより、立場の違いが『ある』ことを理解する」
相手と同じ気持ちになろうなどと
試みても、きっとできないでしょう。
相手の気持ちを受け入れるのではなくて、
相手と自分との間には、
違いがあることを受け入れる。
それが、お互いを尊重できている関係。
そして、違うことにいいも悪いもない。
その事実をはっきりと理解することが、
心が近づくことなんですね。
「同じにさせよう」
「同じになろう」
「同じにならなければ」
と思うから、心の中がもめるわけです。
自分が鬼子の立場だったら、
やはり桃太郎をヒーローとは
思えそうにありません。
あなたなら、どう思われますか?
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心が波立たないだけで、
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